大蔵集古館と虎ノ門界隈の尋常ならざる坂

桃源郷展チラシ

一度行ってみたかった大蔵集古館。以前にテレビで見たときは、入り口からしてダメだこりゃという感じだったのが、このほど大規模改修終了とのこと。公式サイトを見たら、エレベーターも貸し出し用車椅子も配備されていたので、これなら行けるかなと、思った「桃源郷展」。一人で行くには渋すぎるが、中国の書画骨董伝承では私より上を行く妹くんが一緒なら、2人の頭を絞ればなんとか鑑賞ポイントが見つかる。

ホテルオークラの敷地内に建つ集古館。急に行くことに決めたので、準備なし。虎ノ門駅からグーグル先生任せでついて行ったら、オークラを反時計回りに回って、アメリカ大使館側の入り口から入るルートを案内された。
「ヒルズ」とあったので、ちょっと高いのかなあ、とは思ったが。
アメリカ大使館の角の十字路のかまぼこ+坂っぷりが尋常ではない。車椅子は車道に向かってずり落ちるし、道を渡ったところで立ち往生するほどだ。下がるに下がれず上がるに上がれない。そこら中におまわりさんが立っているけれど、市中のおまわりさんならこういうことになっていたら、必ず手を出してくれるけど、知らん顔なのな。結局上がることにした。
「裏口から入ったからこうなったんだ。正面から回れば…。」と、帰り反対回りに降りようとしたら、もっとすごい「江戸見坂」なるものに遭遇。こりゃ無理だ、と、オークラのオフィスタワーに入って(3F!)、エレベーターで地上階に降りた。そこからさらにスロープで降り、敷地から公道に出るところでまたすごいかまぼこで車椅子を流され。
坂のふもとの石碑によれば、勾配18%! 江戸のまちが開けた頃、この坂の上から江戸のまち全部が見渡せたところから付いた名なんだそうな。そりゃ見えるだろうさ。

昔、まだ不案内だった頃、横浜山手から、代官坂と間違えて潮汲坂をヘルパーもろとも滑り落ちたときの次くらいに怖かった。
多分どっか、オークラには入れるまともな道があるとは思うんだけど。オークラに出入りする人なんて、皆さん黒塗りのクルマでしか出入りしないんだろうかねえ。

虎ノ門あたりを歩いていると、ジャパンタクシーの多いこと。もう半分くらいそうなんじゃないだろうか。
乗れる車椅子を選ぶこのカッコ付きの「ユニバーサルデザインタクシー」が、ここまで増えてしまっていることに危機感を覚えるよ。ここで予算使ってしまったら、まともな車両が出来たときに助成できないだろうな。何をしでかしても許されるオリンピック予算はもう2度と付かないし。

大蔵集古館正面

竜宮城のような赤と緑と白の大蔵集古館。見えた瞬間にそれだろうことが見て取れる。

金剛力士像・阿/吽

玄関にそれだけで企画展の主役が張れそうな、鎌倉時代の金剛力士像が1対。
ミュージアムなんてしゃれたもんじゃなく「集古館」ですからねえ。そこらの骨董収集とはケタは違う規模だけど。
上海博物館に入り浸っていた妹ですら見たことがない様式の彫像とか、常設も面白かったし。

中国南部の四面三十二臀象

古代ギリシャのアルカディア、古代イングランドのアヴァロン、南米のシャングリラ、そして漢字文化圏の桃源郷。此岸と彼岸の境のような、まあいわゆる理想郷ですが。
桃とセットになっていて、高齢化率が高いのが、桃源郷の特徴かも。蕪村と呉春の文人画を中心として、明清中国、明治時代くらいまで。明治期になっても桃源郷図がたくさん描かれているのね。