実況中継「車いす製作プロジェクト2004」9

 玄関[I]くるまいすのつくりかた[R]>車いす製作プロジェクト2004 目次 [1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9]
最新記事(05/01/18)

ドクター♪

11月26日 かかりつけ、というか、年金が障害児扶養手当から障害者基礎年金に変わったときに判定してもらって以来、診てもらっている整形外科の先生に、「車いす新調したいんで、意見書書いてください。業者連れて行きますけど、いつがいいですか。」と連絡を入れたところ、「診療時間ならいつでもいいよ。」とのお答え。ホントは単独で行きたいのだが、なにせ整形とは思えないむちゃくちゃな立地条件ゆえ、家人を伴った方がよかんべかな、ということで、片づきのよい午前の最後あたりに時間を設定しました。

 やっぱりフレームの長さが気になるな、ということで、ロングフレームも持ってきてもらうことにしました。フレーム伸ばして前出し増やせて、「安定して軽い」が実現できたら、それはうれしいですからね。

 15分ほど早めに行って、診察券を出しておきます。ほぼ時間通りに業者さん到着。先日とは別の車いすで登場。新車なんです、というその車いすは、さすがのREV・特注仕様。デモ車いす2台ということで、アシスタントさんを伴って現れました。さすがのパワーユーザの業者さんでも、このセンセの玄関先の急坂にはびびったらしく、アシスタントさんの手を借りてました。「大丈夫だろうとは思ってたんですが、まさかここまですごいとは…。整形、なんですよね、ここ。」多分、自動車ならギアをセカンド(オートマ車のよ、もちろん。)に入れないと無理。

医師ふんふんふん。これね。あれ、手帳は? はい、これね。…あれ、うそぉ。

しばしの沈黙

医師これ、何で? 下肢機能障害じゃないよね。どういうこと? なんで。誰がこうした?
よーのすけ誰がこうした、って…。先生…じゃなかったでしたっけ。いや、違う。最初に判定書類を書いてくれたのは、ウチの隣で開業していた小児科のK先生で、そのときの手帳には「脳性小児麻痺」になってました。
医師「脳性小児麻痺」は、障害の原因であって、障害名じゃないんです。下肢マヒなわけないよねえ。四肢マヒに体幹障害、ですよ、あなたは。あと言語障害。
よーのすけですよね。自分ではどう考えても四肢マヒだろうと思ってたのに、変だなあとは思ったんですよね。その手帳は今年書き換えたものなんですが、その一つ前の手帳がこれなんです。(なぜか携帯している。理由は聞かないこと。) それ、手帳のフォーマットが新しくなったときに作り直したんですが、上がってきたの見たら「脳性小児麻痺」が「下肢機能障害」に化けてまして…。
医師ダメだよ、これ。訂正を申請しないと。じゃ、これは申請し直しましょう。あれ、でもまてよ…。困ったな、これ。下肢機能障害って書くしかないのか。うーん。まあ、しょうがないか。で、車いすだけど、これでいいの。乗ってごらん。
よーのすけえぇ。これでいいんではないかと。あと、フレームとか、サイズとかを決める必要はありますけど。
営業氏先生がおっしゃるのはそういうことじゃなくて、どういう特装を付けるか、ということ。転倒防止とか…。
医師いや、えぇと。今乗り移ってもらいましたよね。で、不安定だけどとっても上手に乗り移れるとは思ったけど、これが何もないところでぽつんと車いすだけあって乗り移れるの? こんなアームレストだけで大丈夫? 緊張がある人は乗り移るときに車いすごと転ぶから。ブレーキはあるけどこれだけでいいの、ってことですよ。座ってしまえば転ぶことはまずないでしょう。
よーのすけいやあ、別に今までの車いすで、そういう転び方をしたことはないですねえ。何もないところでも乗り移れてますし。かまぼこ道路で後ろに転けたことはありますけど。
医師うーん、こういうのは、もっと時間をかけて診て上げたいんですけれど…。金曜の午前中というのは無理なんだよなあ。最近、混んで混んで忙しくてね。ま、仕方がない。出来上がったらちゃんと一緒に見せに来てね。

だから、何時がいいですか、って電話したんじゃないですか。営業氏、ぽつりと、「あの先生、よーのすけさんが今の車いす作るとき、診てないでしょ。使っているのも見たことがないんじゃない?」 大当たりです。判定書を受け取って業者さんに預けます。見積もりなどの書類をそろえて自宅に郵送してくれます。

ロングフレームかショートフレームか

 いよいよの決断です。フレームの長さ。よーのすけの希望としては

  1. 出来るもんならショートフレームにしたい。総合得点ではショートフレームの方が上。
  2. 前出しを多くして、少しでも楽に漕ぎたい。しかし、登坂を考えるとショートフレームで前出しは自信がない。
  3. ショートフレームで、登坂してみて、もう少し前出ししても大丈夫そうならショートフレーム。
  4. 登坂がきついとか、キャスターが浮いてこれ以上前出しが出来なければ、ロングフレームにしてもっと前出しを付ける。

ということにしてました。医院の玄関先の急坂の先に、これまた具合のいいけっこう急な坂道が延びていますので、そこを2台の車いすでえんやこらと登り比べた、その結果。

 ショートフレームでも心配するほどは浮かない。デモ車は「安定位置」に設定してあったけれど、もう少し出してもイケそう。」

という、あらまほしき結果と相成りました。ショートフレームに乗って、玄関先の急坂を下ろしてもらった後、そのまま家人がしばらく押し上げてたのを「離すよ」といって急に離されてしまい、自分で漕ぎだしたとき、キャスターがかなり上がってひやりとはしました。体勢が「押してもらいモード」になってしまっていて、後ろに重心が行ってしまっていて、そのまま力入れたら…そりゃあ浮くよね。でも、ちゃんと立ち戻りして体勢立て直しできたし、確かに前傾姿勢で漕げたから、わりに力は入れやすかったです。確かにロングフレームの方がバランス気にしないで漕ぎ上がれるのでより楽と言えば楽でした。でも、同じ前出しで、この程度の安定感の違いならば、回転の良さ、積み込みの楽さを犠牲にしてまでフレーム伸ばす必要はないかな、と。むしろ、座の奥行きが、現車いすに比べて非常に浅くなる方が、乗った感じとしては不安です。ロングフレームが、ほぼ現車いすと同じ座奥行きで、座った感じはロングフレームの方がよかったのですが。とはいっても、座り感は慣れもあるし、今回は「違う」ことを求めての作り替えですから、ショートフレームで行くことにしました。

営業氏じゃ、ショートで。え、何、クッションも欲しい? でも持ち出しになりますよ。
よーのすけそれはもう仕方ないです。どうせカバー破けちゃってて突貫工事の手作り品ですから。それに、もっと厚いのが欲しい。
営業氏じゃ、5センチにしましょうか。材質はどうします? 私はメッシュ使ってますが。
よーのすけ滑るおそれがあるので普通のベロアにしてください。あと、クッションをシートに固定する面ファスナーですけど。
営業氏私は付けてません。クッション裏返して使うこともありますし。座面に傾斜付けたりしてるので、落ちませんよ。
よーのすけうーむ。私は突っ張って乗ったりしてることもあるので、やはり面ファスナー付けておいてください。
営業氏じゃ、出来ましたらお宅の方で調整しましょう。…えっ、お宅、玄関に階段がある? それじゃ私上がれませんね。あ、ガレージがあるんですか。そこは平ら…?少し傾斜がある。じゃいいです。水平器持って伺いますから。

 水平器? 車いすって、そんなデリケートな調整を要求する乗り物だっけ。今までの業者って、「持ってきましたあ。あ、部品いっこ忘れてきましたあ。送りますから付けといてください。後日調整に行きます。」と言って、そのまま忘れるトコだったからさ。

 今回の車いすは、むしろ出来てからの方が勝負、っていう感じです。乗り回し始めてから、細かく調整しすることになるでしょうし、車いすの形がかなり変わるから、乗りぐせも変わるに違いないです。どこまでがマヒでどこまでがクセなのか、微妙なところではありますが。気になっていた座席高も、かなり調整できそうなので、クッションの厚みと手の長さ、漕ぎぐせで合わせてもらえそうですし。もしかしたら、TPOで自分で調整することになるかもしれない。というか、そこまで出来るようになったらベストなんだけど。これが完全車いすユーザーだったら、TPOに合わせて車いすごと変えるんでしょうけどね。よーのすけはそこまでは出来ない。

 (いつも通り)申請書提出して同時進行で進めることにしました。上がってくるのは1ヶ月後。時期が時期だけに、年を越すかも、という話です。

これで手続き関係は終了のはず

 「来週の最初には見積もり届くようにしますよ。」とおっしゃっていた業者さんでしたが、やっぱりというか何というか、「来週」の末になっても送ってこない。その翌週は、前半外に出っぱなしになるので、その週のうちに欲しかったのですが。日曜日、「何か不都合でも」とメールを入れたところ、翌日、届いてました。「金曜に送ったので、今日着いているはずです。」とのメールと一緒に。

 12月9日 医学判定書見積書マスターカード、の3枚の書類と印鑑を持って福祉課へ行きます。書類の確認をして、「装具交付・修理申請書」というのを書かされます。こんな書類を今まで書いた覚えがないのは、こういう申請を人任せにしていた証拠。

よーのすけ住所に氏名。手帳交付日…(昭和のショウってどんな字だっけ?)。手帳番号。障害名…。あっ、そうだ、私、障害名が間違ってることが判明したんですけど。
ワーカーえっ。まさか。それはいったいどういう…
よーのすけこれ、下肢機能障害になってますよね。でも、私はどう見ても四肢マヒ…。
ワーカー手にも障害、ありますわねぇ…。最初からそうなってました?
よーのすけいいえ。こっちの手帳からそっちの手帳に移ったときに…。
ワーカーあらら、ホントだ。こりゃ判定受け直しですね。等級はともかく、手の障害があるのとないのじゃ、交付できる装具が違ってきちゃいますもんね。後で診断書持って帰ってくださいな。で、その欄ですね。ああ、肢体不自由でいいです。交付する装具は「普通型車いす」。あれ?でも介助用押し手は付いてるんですよね。んー、「車いす」でいいです。必要ならこっちで書いておきます。
よーのすけ希望する業者は「有限会社オーエックスエンジニアリングXXXXX」と。あとは印鑑ですね。じゃ、これ押してください。
ワーカーこれで送っておきます。あ、そうか。オーダーメードじゃないんでしたっけ。送らなくてもいいのが出来たんでした。確認しておきます。送らなくて済めばすぐに決定通知書送ります。送ることになると1ヶ月くらいかかります。
よーのすけ同時進行でいいですよね。
ワーカーどうせもう始めちゃっているんでしょう。決定通知出来たらお送りしますからね。

 これで全部終わったはず。あとはできあがってくるのを待つのみ。年内に来るとかなりうれしいですな。

明けて2005年。もういくつ寝ると…

 1月11日 そんなに急ぐというわけでもないけれど、待ち遠しいし。行政の給付決定も、「1ヶ月をめどに」と言っていたのに、ふんともスンとも行って来ないし。少々焦れてきたので、とりあえずいつ頃上がって来るのか、確認のメールを入れました。

 1月12日 文句の一つも言ってみるもんです。業者さんが電話をくれました。「本社に聞きましたら、明日出荷するとのことです。来週にはお届けに上がれます。詳細は追ってご連絡します。」うほほ。

 1月17日 出勤途上の車中で鳴り出すPHS。車を路肩に停めて、受けます。さて、これは道交法違反に当たるんだったっけ。

営業氏今、入荷したんですが、あいにく今日・明日と出張なんで。水曜日でいいでしょうか。でも仕事でしたっけ。
よーのすけいや、今週は休みにするつもりでしたから、大丈夫です。自宅の方でいいですよね。お医者さんは見せに来い、っておっしゃってましたけど、あそこじゃ調整できませんもんね。
営業氏そうですね。お医者さんには後で見せに行ってください。ご自宅に伺います。あとですね。決定通知がまだ出ていないみたいなんで…。申請してありますよね。
よーのすけもちろん、診断書と全部そろえて出してます。なんか、制度か変わったとかで、更正相談所に送るかどうか、わからないとか言って、行政混乱してるみたいで
営業氏そちらは市町村で決定できるんですよね。え?できるはずだが、そこで混乱してるらしい? 決定が遅れているのかな。市町村決定ができるなら、申請額全部下りるはずなので、オーバーしてる実費分、1万9千円、伺ったときにいただきます。では後日。

 あと2つ寝たら新車が来るぞ。

納車されたページへ[O]
 玄関[I]くるまいすのつくりかた[R]>車いす製作プロジェクト2004 目次 [1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9]

車椅子で彷徨えば扉
Yoonosuke Hazuki[MailTo_ocean@mbc.nifty.com]