OX/MA−1日誌 1

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 年をまたいだ車いす製作プロジェクト2004。プロジェクトはまだ終わってませんが、実物が来てしまったので、章を改めます。

前出ししたのに前輪が上がらないナゾ

 1月19日 「ちょっと早くなっちゃいましたけど、これから伺います。」と、午後一番に業者さんが現れました。取り出されたのは待ちに待ってた新しい車いす。フレームの青は、ちょっとオモチャっぽいけど、まあ仕方がないね。ちゃんとフレームの色サンプルを見せてもらえば良かったと反省。もっとメタリックな青を予想していたんだよね。「OX選んどいて、なぜ色に凝らないんだ」というギャラリーの声が聞こえる。同じ失敗をまたしてしまった。

 車庫で調整開始。まずは取扱説明書と説明ビデオと工具一式を渡されます。取説ビデオ! こんなモンが付く車いすっつーのはいったい…。

 5センチクッションを乗せて座ってみます。あれ、やけにクッションが柔らかいぞ。こんなだったっけ。「もっと堅いと思っていたんですけど」というと、業者さん、「そう言われましても…。確か柔らかいのを、とおっしゃったような気が…。」確かに、クッション3センチで堅くて嫌だ、と言った覚えはあるけれども。前日、アビリティーズの業者さんと一緒に仕事してまして、ロホだのジェルだのいろんなクッション持ってきてくれていたのを、片っ端から敷いて遊んでいたんですが、それとつい比べてしまうよーのすけです。

 座面奥行きがだいぶ短くなったのと、足と胴の角度が小さくなって窮屈な感じがします。フットプレートが手前に来ているので、膝の角度は自由になる感じ。

 まずは足回りの調整です。大体ちょうどいい感じでしたが、フットプレート少し下げてもらいました。転倒防止も、電車に乗れなさそうでしたので、調整することにします。

 そして背もたれの角度。背もたれの角度なんか考えたこともないし、座面の角度も多分今までとは違うので、全く見当も付きません。今までの車いすの感じだと、もう少し寝ている気もするけれど。

 わからないときは走ってみるに限ります。車いすを持ってきてもらうたびに登ってみる自宅脇の坂の登坂です。アルマイトのリムは、デモ機では滑りにくくてチタンみたいだな、と思ったのですが、このマシンはやけに滑ります。新しいせいか、寒いせいか。登坂開始しましたが、4センチもリムが身体に近づくと、緊張のパターン、力の加減が全然違って来てしまいましてね。どう動かしていいやら、よくわからないんですわ。それでも、業者さんと四方山話をしつつ(健常の業者さんだと後ろから付いてきたり、横に付いても高さが違うので話しにくいんですが、業者さんも車いすユーザーだから、全く横並びなんですよね。多分これが健常者同志の普通の感覚なんだろうけど、何か変な感じ。ちなみにCP同志だと、敵はみんな電動だからスピード違って話にならないし。近づいて併走すると当てられるし。)、えっちらおっちら登ったんですが、あれ? 前輪が全然浮かないじゃん。今まで使ってきた前出し0の車いすだと、ほとんど前輪をがったんがったん浮かせては落としながら登るのに。

よーのすけこれ、前輪が全然浮かないんですけど。
営業氏そりゃ、身体を前傾させて漕げてるからですよ。それに車軸安定位置ですし。
よーのすけいや、それにしても、変です。車軸、今までのよりかは前に来てるはずなのに。これならも少し前に出しても…
営業氏ま、それはもう少し乗ってからにしましょう。そうですね、1週間くらい様子を見てみて、それでまた…。

 てな話をしているうちに頂上に到達。Uターン。

営業氏こういうとき、前輪上げて下りられるようになると…。ほら。あ、はづきさん、まだ怖がってますね。転んでもいいつもりで上げなきゃ。
よーのすけこういうのは、腰で乗れないと、って聞いてますけど。
営業氏脊損の人は腰の感覚なんかないですもん。バランスですよ、バランス。ま、転倒防止は一番高くしちゃって大丈夫そうですね。

 車庫の前まで戻ってきました。実はうちの車庫、12センチほどの段差に鉄板のスロープ付けてあるんですが、これ、自分で登ったことがなくて。前輪を乗せるまでは行けるけど、後輪を上げようとすると前輪が上がってダメだったはず。「実は、私、この段差、自分の家なのに上がれないんですよ。むちゃくちゃな作りでしょう。家人呼ばないと。」とか言いながら、ひょこっと上がってしまった気まずさったら。「うっそぉ」と片目つぶって語尾下げで叫んでしまったよ。

 転倒防止を一番上に上げてもらい、差額の1万5百5円を支払いまして。

よーのすけお医者さんが、見せに来い、って言ってましたけど。
営業氏まだ決定下りていないんですよね。決定が下りてから、受領証にはづきさんのはんことドクターのサインが入って終わりになるんです。それまで乗っててください、っていう話だったし、どうせドクターのサインもらいに行かないといけないので、二度手間になりますから、決定下りてからにしましょう。決定下りないとどうしようもないんですよね。2月に入っても下りなかったら、役所に問い合わせてみてくださいよ。

 ということで、業者さんは帰っていきました。よーのすけはしばらく家の前を行ったり来たり。平らな所を探して、改めて、よいしょ、っとキャストアップしてみましたが、上がらねェよ、全然。何で何で何で? フットプレートが軽くなって後ろに引っ込み、車軸が前に出るから、キャストアップしやすくなる代わりに、転倒しやすくなるから気をつけてね、っていう話じゃなかったっけ。坂道といい、キャストアップといい、この安定感はいったい何? 理屈では浮きやすくなっているはずの前輪が、今までより浮かなくなっている。何でだろう。本当に漕ぎ感は軽くなっているんだろうか。リムの位置がまだ慣れていないので、それもあんまりよくわかりません。

 とりあえず自動車に積みました。今までのよりかは軽いんですが、思いのほか大きいな、というのが正直な感想です。実際には小さいのかもしれないんですが、何となく感じがね。

 なんだか、全然別の乗り物で、違和感ありあり。家人には、「で、良くなったんでしょうね。」と、せっつかれましたが、これだけ違うと、「良くなった・悪くなった」というレベルの話じゃないような気がします。3ヶ月くらい乗って慣れてからでないと、どこがいい、どこが気に入らないということさえも言えないような…。しかも、気に入らなければ調整可能となったらなおさらです。

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車椅子で彷徨えば扉
Yoonosuke Hazuki[Mail_ocean@mbc.nifty.com]