「車いす製作プロジェクト2004」2

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業者選定開始

 行政側はOK。と、意気揚々と帰ってはみたものの、情報がないことには変わりはない。行きつけのK義肢を選択肢から外した分、0から探さなければなりません。気分はほとんど「はじめてのくるまいすづくり」です。

他の連中は、どうやったのかしら。

 まずは車いすユーザーをやっている友人に聞くべし。

脊損の友人曰く

友人僕はずっと頼んでいる業者にやってもらっているからねぇ。壊<れたら電話一本で取りに来てくれるし。
よーのすけ私んトコの業者も、電話一本で取りに来てくれるんですけど、ちーとも持ってこないもんで。
友人なんてステキな業者。出来て後からちゃんと調整できる車いすにした方がいいと思うよ。リハセンに出入りしている業者から探したら、アクティブな車いすを作っている業者、いると思うけどな。

脳性マヒの友人曰く

友人コレ作ったとき業者をどうやって選んだかって? そりゃ、フレームのカラー焼き付けをタダにしてやるって言うから…。だって、俺たち、判定受けに行くでしょ。そこに業者が来てるじゃないですか。その中から値段の交渉するのよ。よーのすけクンの地域だって、判定会に業者来てるでしょうが。
よーのすけウチんトコ、この車いす作った業者しか来てないみたい。また、これをコピーして合わない車いす作られるのやだもん。それに、いつも判定会じゃなくて、かかりつけの医者で判定してもらっているんだけど、その先生も車いすの作り方よく知らないみたいで。役所には、5年待たなくてもいいし、好きな業者選んで来いって言われた。
友人そりゃ、今じゃ、ケースワーカーなら誰だって身体に合わない車いすが一番いけないってことはわかっているから、「いい」って言うに決まってるよ。そもそも、作るたびに採寸し直すの常識だぜ。体型は変わるもんなんだから、業者が採寸し直さなかったってのは問題だな。…しかし、医者も門外漢なのか。それはキツいな。だけど、業者どこでもいいって言われたんだろ。だったら、とりあえずネットで車いすメーカーを探してだな、嫌というほど出てくるはずだから、その中からよさげなの選んで代理店の有無を聞いてみ。あと、行政に、どんな業者が出入りしているのか、も一度確認するんだな。

自治体の持ってる情報は?

7月27日。 前に業者を聞いたのは、なにしろもう4年前のことだし、参入業者が増えているかもしれませんもんな。ということで、ワーカーに電話をかけてみました。

ワーカー出入りの業者ですか。そんなもんはいません。判定会にいつも来ているのは日新医療のK義肢…これははづきさんの所の業者ですね、と、あとは日本ホイールのS義肢です。ま、いずれもアクティブな車いすはあんまり…。
よーのすけそちらでは、紹介できる業者は特にない、ってことなんですね。皆さん、どうやってまっとうな車いす作ってらっしゃるんでしょう。
ワーカーいつも作っている業者に頼むとか、病院で、というケースが多いですね。若い人はOXエンジニアリングですね。先日も来てたので会いましたけど。ま、OXはお高いですから、後は値段の交渉で決めてきてください。

 うぅ、またOXエンジニアリングに戻ってしまった…。しかも「値切ってこい。」と言われたような気がする。たぶん気のせいだろうけど。
 自己責任&選択の自由は結構ですが、選択肢を選ぶ手がかりもくれないわけね。これも全て自己責任でやれってか。

第一候補のT社にコンタクト

 とはいうものの、自己責任能力のための資源は十分持っているよーのすけですから(威張りっ!)、7月27日の午後、まずは、以前から気になっていた、チタンで車いすを作っているT社に以下のようなメールを送りました。

車イスを新調しようと思っており、貴社の****シリーズを候補の一つに考えています。そこで、当方の地域をカバーしている代理店を紹介していただきたいのです。
ちなみに、2001年のHCRで、一度実物は見せていただいて、説明もしていただいています(担当は車椅子事業部の****さんでした)。

すでに車イス歴は20年近くになり、今回4台目なのですが、今更のことながら、今まで使っていた車イスの寸法が自操するには不適切であったことが判明し、改めて、基本的な設計・採寸から見直したいと思っています。 私は、アテトーゼ型の脳性マヒということで、本来自操式手動車イスを使いこなすにはいささか無理がある身体なのですが、自動車を運転するため、自操式を使わざるをえず、また極力軽い車イスであることが必要になります。それとともに、車イスでの行動範囲もかなり広く、長時間座ることもあります。脳性マヒということで、上半身にマヒがない方とはまた違った配慮が必要になると思うので、できましたら、そうしたケースを扱った経験をお持ちの代理店があるとよいのですが。

以上、よろしくお願いいたします。

8月2日。メールを送ってほぼ1週間が経つというのになしのつぶて。今どき、こんなコトで商売できるのか、というか、してるのか? と心許ないものの、メールを再送することにしました。が。先に送ったメールを引用して、早く返事をください、との文面にしたらば、文字数オーバーだ、と言って、メールフォームが拒否しよる! 中略を挟んでようやく送れましたが、ほんとにここんチ商売しているんでしょうな、と、かなり不安です。

8月10日。ホントはお盆に入らない先週のうちに電話をかけたかったのですが、オフィスタイムに自宅にいられず、断念。盆の入りのこの日の午後、ようやく電話が出来ました。会社が実はないんとちゃうか、というブラックなこともちらと思いましたが、会社はさすがにありました。ですが、担当者が外出中で、帰るのが5時半になるとのこと。帰り次第電話します、と言われましたが、夜になっても連絡はなし。
 確かに夏休みの体制に入っているのだろうけれど、それにしても、担当者一人だけって、そんなのアリなんだろうか?

8月11日。丸一日外出せざるをえないので、家人に、「電話が来たら、ケータイにかけるように言ってくれ。」と伝言をして、楽しみに待つも、連絡なし。うぅ、アフターケアのこととか考えると、こいつはやばいかもしれません。

8月12日。ナメとるなあ、おい。催促の電話を入れたら、「今日から夏休みです。」だって。製造業だから夏休みはとるだろうなと思っていたけれど、それならそうと、「電話させますが、夏休みに入りますので、遅くなるかもしれません」くらいのことは、取り次ぎのおネェさん一言言っててくれればいいのに。

リハビリセンターなら相談にのってくれるか、っつーと

8月19日。よく考えたら、今まで合わない車いすに乗ってても気づかないほど無知だったんだし、もともと自操には無理がある身体なんだし、車いす計画自体を考え直す必要があるよね。

という、根本的問題に行き当たったので、先代のチタン車いすを設計してもらったお隣の政令指定都市であるY市のリハビリセンターのホームページを覗いてみました。車いすについての相談コーナーが一枚看板でかかっているのを発見。T社からうんともすんとも言ってこないので、先にそちらに相談してみることにしました。

更正相談で、ワーカーさんとのやりとりです。

よーのすけ車いすを作ろうと思ってまして。車いす自体は10年以上使っているんですが、最近身体に合っていないことがわかったものですから。えーと、89年にそちらのPTに診てもらっています。自操もしんどいので、電動も選択肢に含めているのですが、そちらで相談に乗って頂けないでしょうか。
ワーカー以前にこちらで作られたのですね。記録が残っているはずなので、お名前とご住所を…。あ、市民ではないのですか。それだとこちらで書類を作ることが出来ないので、県の方に…。
よーのすけあ、別に判定までして頂こうというわけではないんです。私、かかりつけの病院というのがなくて、町の整形科医に判定だけはしてもらっているのですが、あまり車いすに詳しくないもので。前回ですか? 前回は、そちらで作って頂いた車いすを業者が適当にコピーしたのですが、行動範囲も広がったし、ちょっと使いにくくなったものですから。そちらで情報だけいただけないかと思いまして。
ワーカー市民でないとなると、こちらでは車いすを処方できないんですよ。ですから、県の療育センターの方に問い合わせてみて頂けますか。

 もちろん、こんなにあっさりした会話ではなく、いろいろな状況をかなり詳細に聞かれ、20分程度電話でやりとりをしましたが。どうも市民でないとだめみたいな感じだったので、県の療育センターへ電話をしました。福祉課に回されます。

よーのすけというわけで、Y市のリハセンに相談したらこちらだと言われたんですが。
ワーカーそうなんですか。市町村の方にはもう相談されたんですね。県のリハセン…は、やはりお宅からは遠いですよね。電動と手動では扱いが違ってまして、手動であれば、Y市リハセンでも処方出来るんですよ。やはり電動、ということになれば、仕方ないので県リハに行くとしても、身体の状態を見てもらって、相談だけして頂くようにしてもらってはいかがでしょうか。

再びY市のリハセンへ。

ワーカーそうですか、療育センターにそういわれたんですか。…ちょっと待ってください、ちょっと相談してみますので。

 他の者と相談して折り返しお電話差し上げます…。これは、よーのすけがたまにカウンセリングの手伝いをするときにいつも言うせりふだよ…。どこも同じだねぇ。

ワーカー療育センターの方にも確認したのですが、結局こちらですと医師の診療という形しかとれないんで、車いすを作るという話になると、また県リハに行かざるをえなくなると思うんです。意見書を書くぐらいしか出来ませんし、これが電動となると、書類作っても全部無駄になってしまいますので。結局、遠いですけど、県リハに行かれる方が早いと思います。PTと医師を出して車いす相談会というのをやってはいますけど、これは、業者が来てやるだけで、ゆっくり相談できるというものではないですし。

ちぇ、また振り出しに戻っちゃったじゃないかあ。

 車いすの相談したいというと、何で県に一個のリハビリセンターに行くしかないのだ? よーのすけは車の運転できるから、がんばって行けないことはないけれど、何せ渋滞の名所がいくつかあるから、片道2時間見ても厳しいど。すでに相当アクティブになっている障害者でないと、リハビリしにいけないんとちゃうやろか。何かがおかしいんだよねぇ。

 どうやら、やっぱり「目星を付けた業者に電話をかけまくる」が正解の模様です。こんなことなら、さっさとT社に催促の電話をするんだったよ。

 とはいえ、明日はまた1日出先だ。となると、うー、また来週かい。

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車椅子で彷徨えば扉
Yoonosuke Hazuki[MailTo_ocean@mbc.nifty.com]