国際福祉機器展2004−実況中継「車いす製作プロジェクト2004」4

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 首都圏在住者が秋口に車いすを作ろうと思ったら、やはりココには行かなきゃいけませんよね、国際福祉機器展。限られた時間の中で、いくつ乗れるか、がんばってみました。

TIG

 チタン製モジュールを作っているTIG社。今回の買い換えの第一候補に挙がっていたタイタンRに乗せてもらいました。

 残念ながら、モデル機のサイズをあまり多くそろえておらず、どれも大きめで違和感はありありでした。それでも、本体自体が軽いこと、3cmの前出しのせいもあり、漕ぎ感は軽かったです。しかし、よーのすけにとっては幅が4cm以上広いマシンだったのにもかかわらず、リムへの距離が短いような気がしました。手を降ろしたとき、指先が車軸の下に行っているような。それってよーのすけの手が長すぎ? 座席の高さは変えられないのか、と聞いたところ、出来ないとのこと。クッションでの調節になりますかね、と尋ねると、これも、「まあ多少は」という返事でした。4月からレッグパイプの形を一部モデルチェンジするそうです。それで何が変わるのかは返答してもらえませんでした。

 最軽量のBuzzにも乗ってみました。こちらはスカートガードもなけりゃ介助ハンドルもないタイプ。これは軽いに決まってます。でも、スカートガードのない車いすなんて、実際には乗れたものじゃありませんけどね。

 畳んで持ち上げさせてもらったところ、確かに軽いわ、片手で軽々持ち上がります。

 しかし、総じて「車いすとしての魅力」には欠けます。なんというか「軽いだけ」。よーのすけが実際に乗るとすれば、転倒防止を付け、介助ハンドルを付け、今回は袖汚れ防止のため、アームレストも欲しいと思ってますから、これだけオプションを装着したとき、どれだけ軽さを維持できるか、と言ったらかなりでっかいクエスチョンマークが付きます。デモンストレーターの「車いすに乗ること」についての感覚もいまいちでしたし、最初に抱いていた希望はちょっとしぼんだ、というのが正直な感想です。

日新医療機器

 よーのすけ御用達の日新医療機器。前調査ではよーのすけの条件に当てはまるモジュールはなかったので、期待はしてしなかったのですが、まずはパワーユーザーお勧めのRSシリーズに乗ってみました。

 確かに漕ぎ感は軽いような気がする。でも、前出ししてるし、こんなものかしら。可もなく不可もなし、という感じてす。で、畳んで持ち上げようとしたところ、あり?畳まれないじゃん。畳んでもかなりぶっとくて、自動車の前後シートの間に収まるかどうかかなり疑問です。えいよっと持ち上げようとしましたが、さっき、超軽量な車いす持ち上げちゃったせいか、重くて持ち上がりません。スポーツもしたいという人のために、特別頑丈な太いフレームを使っているのだそうで、そんなのはよーのすけには不要ですもんね。

 次いで、日新のモジュールでは比較的軽いBellaに乗ってみました。なんだか粘つく感じの漕ぎ感です。あまりパワーユーザーではないよーのすけにも感じられるこの粘りはいったい何なんでしょう。

 折りたたみは、座席下のレバーを引くのですが、コツか力かどっちかがいるみたいでちょっと難しそう。軽くするために、座席下のXバーを取ってしまったそうで、道理で見た感じ変だなと思ったんだな。これまた畳んでも幅がいまいち不安です。先ほど同様、超軽量な車いす持ち上げちゃった後のせいか、重く感じました。

 このBellaでいいな、と思ったのは、ブレーキを外すとブレーキシューが完全に中に引っ込み、手に当たらなくなることです。巻き込まれないのはもちろん、ブレーキレバーごと引っ込むので、勢い余って手が行き過ぎても手に当たりません。

松永製作所

 国際福祉機器展2001以来気になっていたMAX PLEASUREシリーズ。畳み幅といい、軽量ぶりといい、アノ時は魅力的だったんだけどなあ。

 希望のマシンはなぜかパンク中。上位機種のα(アルファ)に乗せてもらいました。これまたなかなかいい感じ。持ち上げさせてもらったところ、かなり軽いし、十分につぶれます。転倒防止のタイプが気になったので聞いてみると、ボルト装着で、高さも予め調節できるとのこと。

 よーのすけの車いすを見たデモンストレーターに、「そちらのK義肢で扱ってますから。」とお気楽に言われ、言葉に詰まったよーのすけ。「いや、その、今回業者変えたいんですけど」と言うと、「しかし、そちらの方だと、ちょっとほかに採寸して作れる業者ないんですよね。施設用とかしか扱ってなくて。」 …あれで、採寸出来る唯一の業者なのかい。困ったにゃ。「ま、採寸もそちらの方でいろいろ注文付けて作れば、ちゃんと作れますよ。」そりゃそうだけどさ、それどうしていいかわからないからこんな車いすが出来ちゃったんじゃないかあ。

NICK

 友人が電気動力を積んで走らせているノヴァ2、シンプルながらなかなか魅力的でして。横浜福祉機器展にも来ており、持ち上げてみたところ(乗らずにまず持ち上げてみる奴)、えらく軽かったので、候補に上げてました。このときはデモンストレーターがいなくて、話が出来なかったんですけどね。ニックというと何でも、「病院の車いす」というイメージがあるそうですが、現車いすを作ったインターネットの普及初期、いち早くホームページを立ち上げていたのがこのニックでして、そこにはスポーツ用特殊車両ばかり並んでいて、病院とは全くご縁のないよーのすけにとっては、ニックというのは最先端車いすのイメージがあり、私なんぞはお呼びじゃない、と思ってました。

 ここで接客してくれたのは、車いすのデモンストレーターさんです。最初はやっぱりスーパーノヴァ。なかなか軽快ですし、ターンの切れもよろしい。とはいえ、これ、転倒防止が付かないらしく、転倒防止が欲しいんならこっち、と勧められたのが、廉価版のノヴァ2。オプション付けると、なるほど友人のアレと同じ感じになるわけネ、とたいそうイメージはしやすい。げと、ちょっと悔しい。前出しも調節出来るはずだし、給付+ちょっとの自己負担、でなんとかなりそうだし、悪くないんですよね。漕ぎ感、乗り心地とも、よーのすけレベルだとスーパーノヴァと変わらない気がするし。

 とても驚いたのは、リムの感触。あたりが柔らかくて、まるでチタンのようです。しかし、アルミだったらしい。畳んで持ち上げさせてもらいました。すると、ややや、片手で持ち上がってしまう。これは軽い。最初、畳んでもずいぶんおでぶだな、と思ったのですが、きちんとシートを畳むとほっそりして、シートの間に収まりそうです。背シートにクッション性があるため、それほど細くはならないとのことでした。これで、リムがアルミだとすれば、ちょっと贅沢してリムをチタンにすれば、転倒防止とアームレスト付けても十分軽いだろうな、と思った次第。「連絡先をいただければ担当の者に連絡させます。」と言うので、名刺を置いて来ました。

OXエンジニアリング

 これは、まあ、外すわけにはいかないよね。よーのすけまでこれで作っちゃうと、当サイト、OXエンジニアリングの回し者サイトみたいになっちゃうけど。ここで捕まると時間かかるのは目に見えているので、一番最後に取っておきました。

 勧められたのは定番のMシリーズ。まあ順当な選択でしょうね。ただ、乗った感じ、なんだかガタガタする気がしましたけど。漕ぎ感は、まあ、前出ししてあるし、こんなものかな、と。

 インテグラルに乗っている友人には、OXって決して軽くはないぞ、と言われていたので、ダメかしらん、と思いつつ持ち上げてみると、あれ? 軽いじゃないですか。ひょっとして自分の車いすの重さ忘れたか? と、荷物を降ろして自分の車いすを改めて持ち上げてみたところ、むしろこっちの方が体感的に重いです。へんだなあ。

 スカートガードをレザーにして、アームレストを付けてスカートガードのレザーを巻き上げれば、軽くて袖口も汚れなくなるとのことでした。

 ユーザー希望カードを書かされている間に、これまた車いすユーザーのデモンストレーターさん、せこせことよーのすけの車いすのサイズを測り、書き上げたカードにデータを書き入れていきます。

アビリティーズケアネット

 えっと、実はここが先日ソプールの前出し7cmを持ってきてくれた所です。オフ会に来ることになっていたY氏に、ここの担当氏を紹介することになっていたので、落ち合ってから、またソプールを見せてもらいに行きました。先日は一杯付いていたオプションを取り外し、ミニマムシステムにしたのを見せてくれました。自分では持ち上げませんでしたが、同行した友人が持ち上げて「あ、軽い。」とはいえ、幅がなんとかならないと車載出来ないのよねえ。

 さて、ソプールに乗ってみたY氏、「前出し7cmでもひっくり返り感がない」の記述に半信半疑だったらしいのですが、とても納得したようで。漕ぎ感の軽さにたいそう驚いていました。やっぱり感動するところが同じなのが、よーのすけとしては可笑しかったな。

 担当の営業氏に、「ひょっとして松永扱ってませんか。」と聞いたところ、「ありますよ。」との返事。これはツイてます。これで一気に進むといいな。

中間まとめ

 重量数値は必ずしも体感重量に対応しないようです。今や、本体重量そのものは、モジュールといえどもかなり軽くなっています。というか、モジュール車いすを欲しがる人の使用パターンを考えれば、軽量化の要望が高いことは当然ですものね。車いすの重量は、タイヤが一番大きな比重を占めるそうです。贅沢するとすれば、リムだけをチタンにすることで、かなりの軽量化を実現できるとともに、れっきとしたCPゆえリム握るのがあまりうまくないよーのすけにとっては多少とも操作上有利になるかも。チタンのリムの感触は、最高です。

 ブレーキシューの位置。現車いすをオーダーで作ったとき、「オーダーなんだからブレーキシューに手が当たらない程度に低くしてよ。」と頼んだらば、「そんな車いすはない。」と言われたんですけどね。当時でも時々見かけたのに。メーカーにより、ブレーキの位置には工夫があるようで、これもチェックポイントです。

 転倒防止の形と高さ。現車いすが、転倒防止を付けたせいで畳みにくくなり、また、もうちょっと高さに余裕がないとキャストアップやりにくいので、これもポイントかな。

 ステップの形状。よーのすけ、時々足を突っ張るので、ステップがあさっての方向に向いてしまいます。だからといって、固定タイプだと、立ち上がるときに困るので、跳ね上げられないといけない。かつ、片方づつ別々に上がる方が、いろんなシーンで便利なんだよね。

 たくさん乗りましたけど、どれも微妙に乗った感じ、漕いだ感じが違うんですよね。どう違うんだ、と言われると困るけど。この違いが、現実の使用場面、よーのすけの場合は、普通の椅子に座って作業することも出来るので、移動に特化するわけですけれども、それにこの違いがどう響くのかいまいちピンと来ないのが最大の問題かな。

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車椅子で彷徨えば扉
Yoonosuke Hazuki[MailTo_ocean@mbc.nifty.com]
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