りすさんの車いす製作レポート
Quickie2+JW2
- 座幅38cm・後輪24inch, キャスター5inch、J2クッション、
- 特別良い背もたれ、ハンドリムビニールコーティング
- シングルクロスブレース
- 所要時間:
- 1時間ほど
- 来てくれた人:
- 株式会社アクセスインターナショナルの営業担当(営業上手な忍耐強いお兄さん)
- 内容:
- ならし乗り200m、縁石乗り上げ、シーティング解説、
- 解体・折り畳みのデモ、図書館まで8度の上り下りある往復1km走行
- 図書館内を動いてみる、
- 感想:
- 一番感動したのは座り心地の抜群の良さでした。
- 姿勢
- 座ったときの姿勢が他の機種よりも断然良くなります。ショックなことに既にずっこけ座りが癖になってしまっていてクイッキーでベストな良い姿勢にするにはもっと奥深く腰掛けて上体をまっすぐにすればよいと教えてもらいました。良い姿勢で居続けられます。安定させられます。こいで腕が空を切るときに背筋を伸ばせます。標準型手動にクッション付きで座るとお尻の部分の座面が少し下がり、背もたれも合わせて歪むのですが、これは体形に合わせて座面・背もたれが丁度良い形になるというわけではなく、良い姿勢を保つのに座幅は良くても座面は案外不安定でぐらぐらして良い姿勢にするには意図的な努力がかなり必要だということが初めてわかりました。標準型で背もたれに背中を預けると骨盤が後傾することも初めてわかりました。姿勢保持の悪い車いすに乗り続けていると悪い姿勢が固まってしまい身体に良くないですよ、と指摘を受けました。既になりかけの私はさもありなん、と思いました。
- バックレスト
- バックレストは高級品だったのですが購入当初は安い布製でも数年はたわまないので姿勢保持できますとのことでした。EMUも背もたれは張り調節が出来たのですが、心地よさは今日の背もたれの方がかなり良かったです。
- クッション
- 座り心地もJAYクッションは1番心地よく、疲れませんでした。
- 座面高さ
- 座面は社協の車いす(35cm)より10cmは高く、視点が上になり見晴らしが良くなりました。見渡せる範囲が広がると気分的に良いです。
- 車いすへの身体の収まり具合
- サイズの割にとてもコンパクトでした。全体サイズの印象として、同様座面サイズの最初の自治体貸与車いすよりコンパクトで、ヤマハ試乗車いすより高さがあり、現在使っている社協車いすより高さが後輪2回り分大きく・全幅は同等です。どれも見ている母も同じ印象を受けていました。全体の幅が細く、全長も短く、後ろもすっきりしていました。座ったときに、体形もスリムになったかのような錯覚に陥りました。標準型・YMAHAMAの松永・EMUよりも座面からフットプレートへ伸びるフレームの左右幅が細く、両足を揃えて座りやすいように思われました(錯覚かも)。不思議だったことは、座幅38cm・後輪24インチなのに座幅もこぐ手の身体からの距離も申し分なく、奥行きはもう数cm長くてもよさそうでしたが概ねぴったりサイズだったことです。営業の方が確かめてみても、座幅は左右に2cm弱の隙間があるだけで本当にぴったりでした。寒くてジャケットを着ていましたが、丈の短いものでしたので骨盤には当たらず、服の厚みというわけでもなさそうです。クッションの影響でしょうか。靴は毎回同じものを履いています。
- フットプレートの踵縁が標準型より奥になっていて座ったときに、座面からフットプレートへの太いフレームが膝以下の足の骨の位置に沿う位置になり、フレーム・フットプレートが足ガードになっている感触でした。膝疾患で膝・足にモノが当たることを避けている私としては気分的にかなり安心でした。
- フットプレート
- 角度調整式プラスチックのようで、とても軽い割に堅く、足を乗せてもふにゃふにゃしませんでした。重量も開閉式の動きも軽く、座ったままで足首を使う物の移動が苦手なのですがこのフットプレートは足先で動かせました。
- アームレスト
- 高さ調整式デスクパッド10inchでした。アームレスト下前方のフレームはカバーがついています。椅子から立ち上がる時に身体を支えるために手を置く位置と丁度合致していて、意外なところで便利でした。営業の方は、もっとシンプルなアームレストで十分でしょう、と言われました。
- こぎ具合
- 概ね申し分なかったです。
- 腕の動線
- 車軸位置が通常より3cm前でハンドリムをつかめる領域も標準型より広く、まわすために楽に腕を前後に伸ばせます。全幅も細目なため、また、背もたれのフレームが邪魔にならず腕を左右に広げる感覚がなく、すっきり楽でした。
- 走行感
- 前回のヤマハよりも走行距離を伸ばし、坂の上り下りも1つ増やした(低地の水路を挟んで両岸が高く、自宅は片岸に、図書館は対岸にある)のですが、バッテリー残量目盛は全く減らず、夕食時に翌日右肩が痛くなるかなと感じられた程度で翌日は試さなかったものの車いすを動かせる肩状態であり、走行中も走行後もぜいぜいすることなく話も普通に出来、営業の人には「全然問題なくJW2を使えますよ。後は慣れです。これだけの坂道を上り下りしたのは今日が初めてでしょう?少しずつ乗り回す距離を伸ばしていけば、行きたいところは全部カバーできるんじゃないでしょうか」と太鼓判を押されました。ほんとに大丈夫ならいいのですが。。。
- ハンドリムの回し具合
- ビニールコーティングだったため冷たくなく触りやすかったのですが、代わりに摩擦しやすいため、手指がひりひりでした。坂道下りはコーティングが無い方がブレーキをかけやすく操作しやすいそうです。
- アシストオフでの手動操作
- 図書館内フローリング、点字ブロック付きで主に試しました。アシスト付きのようにぐいーっと進むわけにはもちろんいかず、ちょっと重いかなと感じました。本などの荷物持ちだとどうなるか、カーペットでの操作は未確認です。
- キャスター
- 5inchローポリーでした。今まで試したエアキャスターは7inch、8inchと大きい物ばかりで現在の社協標準型車いす5inchエアキャスターで段差を試したことは無く、
- 5inchキャスターを使ったのは今回が初めてでした。段差を上がるためにはキャスター上げを身につけるか、6inchのエアキャスターにする必要がある、と指摘されました。試し乗りでは勿論段差上昇は自力で出来ず、後ろから上げてもらいました。
- 路面の鉄板溝は、以前に教えて頂いた通り、斜め走行すると難なく通ることが出来ました。1回目は失敗して溝にキャスターをはめ込ませたのですが2回目からは斜め走行できるようになりました。エアキャスターでないため、凸凹路面を走ると路面状態が座面に少し響きます。走っていて時々ふとしたはずみで自然と前輪が上がるときがありました。
- 建物内でのモーター音
- 電源を切って使っていたのですが後輪を回すジーーという音が動いている間中案外大きく聞こえるものでした。ものすごくうるさいわけではないのですが、気になる場合は気になると思います。
- 折り畳み
- びっくりしたことは、折り畳むときにバックレストを取り外すことでした。バックレストの左右フレームから取り外すようになっていました。座っているときは頑丈に感じたのに取り外しはとても簡単で、軽いです。カタログ写真から察するに布張りだと取り外しはしないのではないかと思われます。折り畳んだときの幅がJW-2装着にもかかわらずYAMAHAよりも標準型よりも細いことにもびっくりしました。現状まだ時々立つことが出来るので、出先で車いすをたたむこともありそうなのですが、背もたれ取り外しだと一手間必要かなと思いました。
- 車への積み下ろし
- 折り畳んで可能ですが、タクシーに乗せるには重さが20数kgあり、後輪を外したり持ち上げたりするのにコツ・力がいるためあまりいい顔はされないだろう、とのことでした。車への積み込みは利用想定として頻繁な事態ではないですし、50kg以上の車いすよりはまだましかな、と思いました。
- 荷物の積み場所
バックレストに大きいリュックをかけられます。スペース的には電動ユニットがあっても何ら問題はありません。でも大荷物を背負ってこげると思わなかったので試しませんでした。
- 調節可能な範囲
- 購入後に、座幅・バックレストも簡単につけ変えられることに大変驚かされました。クイッキーは1台購入したら末永く使い、合わなくなってきた部分は都度簡単に付け替えられるようにする姿勢が貫かれていることが感じられました。「モジュール式」車いすは各メーカーでありますがモジュールの程度が違うことがわかりました。
営業の人のコメント
- クイッキーへのJW1装着
- 出来るそうです。ただし私の場合はJW2で問題なさそうだし、JW1になると電動車いすにより近くなるので上半身が元気な人にはお薦めしません、とのことでした。
- 重量軽減
- 膝の疾病は、膝をより曲げて座るクイッキー2HPを使える程度なのでクイッキー2HPにして、アームレストを変えれば少し軽くできます。
- 価格
- クイッキーは値段が確かに他より格段に高いけれども、それは初期投資で、長い目で見れば、割高では決してない。自費購入なら尚更。安かろう悪かろうで身体を壊すリスクも考えた方がいいですよ、とのことでした。
今後の検討
わかったこと
- シーティングは可能な限り良くしないと元々姿勢の悪い私は上半身をまっすぐに保てなくなる。
- 背もたれが肩・腕上部に当たるとハンドリムを十分に回せず、代償として肩の角度を外に広げるため、とくに右肩が痛くなる。
- quickie2に準じる車軸位置・背もたれの高さ・横幅ならJW2を使えそう。
確かめたいこと
- 本当に私の肩・腕がJW2の使用に耐えられるのかどうか。
買うと決めたら生涯ずっと使いたいです。肩が壊れないように加減して使わなければいけないのであればJW1を選ぼうと思います。自分の右肩と相談するしかなく、右肩は曖昧な返事をするので迷っています。荷物を抱えての各種走行・さらに距離を伸ばした走行・建物内でカーペット上での走行は試してみたいです。
- 2)仮にクイッキーを選ぶなら、背もたれ・アームレスト・フットレスト・キャスター・別クッションでの座り心地を改めて試してみたいです。案外感触が大幅に変わりそうです。
日新医療機器 MS
- 座幅34cm・後輪25inch, キャスター4inch、クッションなし
- サイドガードはタイヤ型、肘パイプなし
- 経緯:
- Evolutionシリーズで手配出来るタイプとしてMSを持ってきてくださった。
- 所要時間:
- 1時間ほど
- 来てくれた人:
- 日進医療器株式会社の営業担当 (いかにも日本の営業マンというベテランのおじさま)
- 内容:
- 身体状態・希望用途の説明と助成申請の相談、家の前20m試し乗り(概ね平坦だが1-2度傾斜あり)カタログを頂く、写真撮影
- 感想:
- 日進の方は申請対策にとても詳しいでした。
- 手帳申請結果が1月末、車いすの助成有無で価格も10万単位で変わることから、具体的な検討は1月末以降にすることにしました。
日進の方の各機種のコメント
- アイシン精機の簡易電動ユニット
- 日進医療器さんとしては装着しやすい会社のようです。バッテリーでリチウムイオン式が出たそうです。
- JW1/2
- 故障時はYAMAHAへ持ち込んで修理してもらう。トラブルはそうそうないが、走行を止められなくて衝突死亡という事故も数件あることは覚えておいてください、とのこと。
- JW1
- よくあるトラブルは、ジョイスティック着脱による配線の接続不良、携帯などの電磁波でコントローラーがおかしくなる。
- JW2
- トラブル内容はJW1より複雑。
- MS
- 仕様はRSと基本的に同じ。JWを付けられない。
- 標準価格が助成枠いっぱいになるように設定されてある。
- 車軸位置・座面高・ステップ長・背角度・背シート張り調整可。
- 購入1機目として日進医療器さんがお薦めするタイプ。
- 座面からフットプレートに伸びるフレームが、脚部分の衝突をガードするようになっています。
- 中折れ式フレーム状フットプレートは3人乗っても壊れないくらい頑丈なのだそうです。脚を乗せてみて思ったのですが、夏は足の裏が涼しくて気持ちいいかもしれません。冬は足の裏がすーすーして寒いかもしれません。
- こぐとグリップの根元と背もたれの左右フレームに肩・腕が当たります。
- 座幅はちょうどぴったり・もしくはちょっと狭い程度でした。
- 肘パイプを座面から28cm(選択肢内で最低)にしないと高すぎるだろうとのことですが、それでも少し高いのではないか、とも思いました。肘パイプなしだと真横は自由な空間になり楽です。肘パイプなしだと立ち座りで座面を支えにすることになります。肘パイプありだとどういう状態になるのか確認してみたいと思いました。
- POブレーキ:前に倒しても、後ろに引いてもかかり、便利でした。
- サイドガード:柔らかくて、風よけになって秋冬は快適です。
- 姿勢保持には何らかの工夫が必要だと思いました。
- RS
- 在庫あり。JW装着可能。
- RS-04
- 納品が追いつかず、発注してから納品まで5ヶ月待ち状態。JW装着可能。フレームがRSより1本少なくスマート。背もたれクッション付。バックレストはevolutionシリーズの中で一番良い。
- オーダーメード
- 既製品に若干手を加えることも出来るとのことで例を幾つか挙げて下さいました。
- 基準値:デモMS(JW2装着を想定)
- −座面を後ろへ傾斜させる。→ハンドリムをつかむ範囲が広がる。
- −フレームの変形:車軸取付位置を若干前にする。→同上
- −フレーム前後の長さ:数cm短くすると足の長さに合うだろう。
- −キャンバー角を若干つける→ハンドリムをつかみやすくする。難点は、タイヤが偏ってすり減ることと、JWの操作で後退時にひっかかりやすい。
- −キャスター:5-6inch空気式、幅を厚くすると安定走行しやすい。ただし幅を厚くすると旋回しにくい。
- −背角度:座面を後ろへ傾斜させるなら88-89度にする。
今後の検討
- 各社で提示される寸法と実際に座ってみた感触とが違う。数字だけでは不確かで、実際に座ってみて決める方がしっくりくるものを見つけやすいように思いました。
- 機種を絞る段階になったら、肘パイプ・フットレスト・バックレスト高さ・バックレスト使い心地・座面傾斜角度・ハンドリムの取り扱える位置などなど使ってみて確認してみたいと思いました。
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Yoonosuke Hazuki[MailTo_ocean@mbc.nifty.com]