OX/MA−1日誌 2

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なんか重いなあ。

 1月20日 新車をもらって出かけずにいられる人がいたら会ってみたい。翌日の出勤まで待てなくて、車で30分程度の場所にある大型ショッピングセンターに出かけました。自宅では車いす使わないし、自宅近辺の「路上」も、基本的には自動車で走るヒトなので、普段の使用感がつかめません。一番多く走る、リノリウム&タイルカーペットの上を走らなきゃ。

 …車いすって、こんなに扱いにくい乗りものだったっけ。

 新しいせいか、リムが滑って力が入らない!同じハードアルマイト加工のはずなのに(あれ?前のは裸のアルミだっけ)とか、クッション沈んで窮屈な上、あったかすぎてお尻汗びっしょりとか、漕ぎ出しや止まりの力加減、ターンの切れが違うとか、ストレス満載。漕ぎ出すと、一度ガッコン、と引っかかってしまって、それを乗り越えるのに結構力がいります。一漕ぎで進む距離も短い気がするし。「うーん、もうちょっと向こうまで行くのかあ、やだなあ」という気分がかすめました。最近では、平らな場所なら人に押してもらうよりは自分で動く方がよくなっているよーのすけ(歩行者や電動車いすユーザーと歩調合わせるときは別よ)、2時間少々走り回ったくらいでこうなるのは久々のことです。

 どうも体重が後輪に乗り切っていない気がします。今までのより、1センチ車軸は前に来ているはずなので、理屈上はありえないから、気のせいだとは思うけど。

こりゃ、ダメかも

 1月21日 「ちぃーっす。」当事者団体に顔を出したら、「新車だ」「新車だ」「新車だ」。よそのテナントの人たちにも、「あっ、車いす変えた。」と指さされる始末。蛍光オレンジの二重バッテン印は、車いすに関係ない人々にとっても相当なインパクトがあったようです。

 この日は一日オフィスで乗りっぱなしでしたが、とにかく重い。ターンができない。車いす4、5台が3坪の中にひしめく当オフィス、「あの狭い場所ですいすい動けるようになりますよ。」という業者さんの話だったはずが、回転するのに一苦労。食堂に行くにしても、オフィス出た時点でタイルカーペットでめげてしまい、ちょっと押してよ、と介助者に頼む始末です。「了解」と言って車いす押し始めた介助者くん、「うぅ、重い。俺、いつもはづきさんよりはるかに体重がある人の車いす押しているんですが…。それよりずっと重いじゃないですか。おまけにハンドルが細くなってるから押しにくいし。…おおっ、俺、舵が取れない…」 ごーん、とさすがにぶつかりゃしませんでしたが、かなりよれてます。介助者にとってさえ、かくまで重く感じる車いすというのは並大抵のもんじゃありません。

 人さまの車いすに「乗せてえ。」とねだるのは車いすユーザーの性ってもんです。とはいえ脳性マヒ者ばかりの当団体、手動に乗れるのは私ともう一人しかおりません。身長はよーのすけより20センチ高、されど骨盤の幅は同じらしい痙直型CPのこの友人、その辺の健常者より力持ちなCPです。

 お互い車いすユーザーゆえ、「人の車いすに乗る=車いすを相手と取りかえっこして乗る」ということになります。足の長さが全然違うゆえ、よーのすけが友人の車いすによじ登るべくもたもたしている間に、友人、しゃらっと一回りしてきて言うのには、「ターンするには左右互い違いに回せば大丈夫みたいだよ。」だから、そのときに「ガッコン」て引っかかるでしょうが。これだから力持ちの男ってえのは全く…、とぶつぶつ言いながら、友人の車いすで後を追うよーのすけの耳に、「何これ、回らねえじゃん。」という声だけが飛び込んできました。そこそこスピード上げて走って片方の車輪止めると、車いすは、くるっと回転します。これが、回らない。そして、止める方を後ろに引くとガガガガガ、と横滑りします。確かに滑るけれども、走りやすく、キャスターも回りやすいはずのリノリウムの床で、キャスターがロックされるなんてありえません。友人、かがんでキャスターフォークを回して見せます。「ほら、そっちはちゃんと回るけど、これは全然回らないだろ。そりゃ、俺のほうが体重重いし、危ないのは乗り移りの時だから、止まってるときにはロックする設計なのかもしれないが、これが原因だと思う。それにしても何でだろ。」一度下りてキャスターの様子を見、再び座った友人の足下で、キャスターは大きく沈みます。やっぱり極端に重心が前に来てるね、と、2台の車いすを前に廊下に座り込むCP二人組。事情を知らない健常者が見たら何と思うやら。

 業者に調整頼まざるをえないや、と思ったものの、すでに金曜の夜です。メールを入れることにしました。このメール、「これだけ的確だと、原因すぐにぴんと来ますわ。」と業者さんにほめられたので、公開しておきます。

Subject: 至急調整をお願いしたいのですが

早速クレームですいません。

パソコン故障とのお話ですが、週末になってしまったうえ、項目が多いのでメールをお入れします。土曜、開業していらっしゃるようなら会社の方に電話をいたします。

2日ほど乗ってみたのですが、今までの車いすに比べて極端に「重く」なっています。車軸は今までのより前に出ているはずなので、重いわけはない、と思いこんでいたのですが。

どうも、前輪が回転していないようです。ちょうど、前輪にひもを巻き込んでしまったときのような感じです。漕ぎ出しで引っかかる上、一漕ぎ分ののびが出ません。スピード上げて走って片方の車輪を止めると、くるっと回転しますよね。これが全然回ってくれなくて、挙げ句にガガガガガ、と横滑りするみたいになります。小回りが利くようになるはずだとおっしゃってましたが、回転しようとするとキャスターが引っかかって回れないんです。今現在、ブレーキかけずにハンドリム(サイドフレームですらない)を掴んで腰を浮かせられるほど、安定しちゃってます。

リムの位置が変わったことで、緊張の仕方が変わって…というCP的特性も考えたのですが、そうではなさそうです。今日、同じ幅の車いすを使っていて、単独でエスカレーターに乗れるレベルの車いすユーザーの友人に乗ってもらったんですが、やはり極端に重いと言われました。のみならず、介助者たちにも、「重くて扱いきれない。カーブで舵を取りきれない」と言われてます。慣れていないせいではないようです。取り替えて乗っていた友人の車いすに比べてもひどく漕ぎにくいのです。

直感的には、重心が前に来すぎているのではないか、という気がします。体重が後輪に乗っていない感じです。前述の友人の車いすと比べても、キャスターがかなり後ろに来ています。むろん、ショートフレームですから、長さが短いのは当たり前なのですが。それに、ハンドリムの位置も、以前の車いすよりむしろ後ろに来ている気がしてます。以前の車いすに比べ、キャスターが全然上がらなくなってしまってもいます。また、これは以前の車いすでも感じていたのですが、座面が低くて肘が曲がりすぎる気がしています。友人の車いすだと、肘がタイヤにぶつからないのも不思議です。

アルマイト加工のリムも慣れていないせいか新しいせいかひどくさらさら滑って苦労してます。このあたりは「慣れ」が大きいとOXのユーザーさんに慰められていますが。

とにかく、せめて以前の車いすレベルの駆動効率(軽さ)は確保できないと車いすを変えた意味がないので、お忙しいところすみませんが、至急調整していただけませんか。来週末には遠出を予定しているので、できたらそれに間に合わせたいのですが。

 1月22日 週末ゆえ、やはり業者は捕まらず。とはいえ、よーのすけの場合、車いす無しでは身動きが取れないタイプの障害者じゃないし、いざとなれば古い奴もあるし、少々重いけれど乗っておくか…と思っていたのですが。こういうサイトを運営していると、心強いというかスゴイというか、けいじばんにアドバイスが山と書き込まれてきます。どうも原因はエアキャスターにあるらしい。キャスターにエアは入ってますか?というアドバイスに、新品だよ?FC店だよ?まさかね、と思いつつも、キャスターに触ってみると、なんとペコペコです。今までの装具屋なら、ねじの1本や2本足りなくても、またかよーって思うトコなので、こっちも気合い入れて納品時点検やるんですが、今回は気を抜きましたね。しかし、エア抜けキャスターで走る訳にはいかないので、とにもかくにも大至急業者にメンテを頼むことにしました。

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車椅子で彷徨えば扉
Yoonosuke Hazuki[Mail_ocean@mbc.nifty.com]