駅の上下移動を考える-3

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段差解消システムのいろいろ-2

階段昇降機

最初に段差昇降システムとして流行したものです。よーのすけが利用する駅でも設置されたらしいという話はありましたが、幸か不幸か、よーのすけは未体験なのです、階段の昇降のためにキャタピラを利用します。戦車は階段を平気で乗り越えられるところが〈ウリ〉ですが、それを車椅子の階段昇降に利用したものです。
 人間を入れると100kgほどになる電動車椅子を視野に入れて作ったものだと考えられます。キャタピラの付いた台に、取っ手が付いていて、車椅子(及び人間)を縛り付けて、駅員が後ろを支えて歩きます。デリカシーのみじんもなく、ジェットコースターよりもコワイものらしいです。ちなみに、それなりにバリアフリーの進んだ諸国では、お役ご免となり、せいぜい船のタラップの昇降に使われる程度だという話です。
 後傾姿勢でガリガリ登っていく様子から、ある世代の人々からは「サンダーバード」なんて呼ばれていたりします。写真付きの体験記は、伊豆旅行記をどうぞ。

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エスカル

エスカル 194×280 (3KB)  階段の壁際にレールが付けられてあることがありますね。あれは何だろう、と思う人もいるのではないでしょうか。
 レール側の階段の上下に1m程度の高さの車椅子マーク入りの白い鉄柱があったら、それがエスカルです。エスカルは商標名らしく、段差解消機なんてされていたりします。本体は畳んだ状態で置いてあるのが普通です。駅によっては本体を取り外してしまってありますし、1台だけしか持ってなかったりします。そういうところは、使うときにごろごろ転がしてきて取り付けます。幅は50cm、高さは人の背丈くらいでしょうか。レールにはめ込んで広げると、車椅子1台が入る「箱」というか「カゴ」になります。駅員がコントローラをもって、付いてきます。強烈な電子警告音とともに昇降します。普段場所をとらないせいか、あちこちにつけられました。
 このエスカルの問題点は、まず、昇降中に危険が伴う、ということです。いや、乗せられている方の安全は保障されているはずですので、あるとしても感覚的な怖さだけですが(ですよね?!)問題は周囲の人。よけないといけないんですよね。身軽な「健常者」ならまだしも、1.5m四方の物体が、うにうに階段を上り下りするんです。足許の不安な人、聴覚・視覚に障害のある方々はよけきれないのだそうです。確かに、あんな物体、日常生活に存在するものではありませんから、イメージできませんよね。いきなりどいて、と言われても、そりゃ困ります。階段歩いていて、振り返ったら1.5m角のモノリスが背後に迫っていた!どうします?
 もう一つの問題は、なまじ1台あればすむものだから、かち合ってしまったときに、どうしようもなくなるということ。つまり、二人以上の車椅子ユーザーが違うホームを利用することになると、とんでもなく時間がかかるんです。おまけに、このエスカル、操作できる人に限りがあるようで、エスカル本体の数しか人員を置いていないらしい。しかも、使っていないと、はめ方を忘れてしまったりするみたいです。思わず、それ違いますヨと言いたくなったりしますもん。
 見たことがある人が、少ないようなので、イラストを付けてみました。

新型エスカル登場

とことん省スペースにした新型段差解消機登場。

最初に見つけた新型段差解消機
俯瞰図。畳んでカバーが掛かってます。
新型段差解消機俯瞰
制御板レールのアップ
制御板レールのアップ

 よーのすけが初めて発見したのが、今年(2003)の3月のことです。仕事場の隣の建物に設置されました。こんな所にエスカル付けるとはね、と思っていたところ、たまたまデモンストレーションに出くわし、びっくり仰天。このエスカルってば、囲いがない!
 どうやら、設置会社の新入営業部員に対するデモンストレーションだったみたいで、「これ、車椅子で乗ったら怖いと思いますけど。」なんて、いらん口出しをしてみるよーのすけ。そーですかあ、なんて、納得できない顔をしてます。「駅に付いているのは、こんなじゃないですよね。」と、言ったらば、「えーっ、見たことないですう。」と、のたまう。思わずめまいがしたよーのすけ。「キミ達、都会で電車に乗ったことないんか。それとも、エスカルがないほど新しい駅しか使ってないのかね。」と、おもわず喉元まで出かかりましたぜ。どこにあるんですか、と、聞かれたので、このあたりなら、横浜のJRおよび京急か…ごにょごにょ」といってから、そうだ、と、このサイトを見てくれ、と思わず宣伝をしてしまったよーのすけ。あのときの営業部員さん、これ読んで気を悪くしたらばごめんなさい。

乗ってみました

 「なんて機械だ」と思ったこの新型エスカル、実際に乗る機会は思いのほか早く巡ってきました。(仕事場のに乗ってみればいいんだけど、設置されたのが体育館なので、用事がないのよ)
そのときの様子は彷徨日記を見ていただくとして、この新型エスカルは、こんな感じです。もちろん、エスカルは、商品名なので、省スペース型新型段差解消機とでもいうんでしょうかね。

新型段差解消機に乗るアニメ
  1. 本体にかかったビニールレザーカバーを外す。
  2. イグニションキーを制御板に入れて始動させる。
  3. 畳んだまま、ユーザーがいる場所まで連れてくる。
  4. こんな組立ボタンボタンを押すと、床とバーが出てくる。
  5. 乗り込むと後ろのバーが降りてくる。
  6. らせんコードで本体とつながったコントローラを持った操作者が付いて移動する。

 エスカル特有の警戒音は出ません。視覚障害者系とクロスプレーになるかもです。
従来型解消機よりは、はるかになめらかに動き、振動はほとんどありません。
でもねえ、周囲を囲むのが、首の高さにあるバー1本だけ、というのは、いくら揺れがない、といっても、どうなんでしょう。回転ブランコ好きのよーのすけは、平気だったけど、普通の人はどうだろう。不随意運動系・心理的に怖いと突っ張るぞ系の方は、実際危険かもですね。

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車椅子で彷徨えば扉
Yoonosuke Hazuki[MailTo_ocean@mbc.nifty.com]