駅の上下移動を考える-2

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段差解消システムのいろいろ -1

階段

 もっとも原始的な段差解消システムです。人類が高い建物を作り始めたその歴史とともにあり、車椅子の発明と同時に、車椅子ユーザーの敵として宿命づけられたシステムです。
 階段しかない場合は、手運びとなります。いわゆる「おみこし」という奴です。最低二人の人員(しかし、二人では無茶の部類に入る)、できれば4人の人手を要します。改札で声をかけて下さい。駅員さんが手配してくれます。人員が集まるまで15分ほど時間がかかることもあります。
 運んでもらう際、つかむ位置は、車椅子ユーザー自身がする必要があります。必ず、上りの方を向いて担がれるようにして下さい。何も知らないで運ぶ駅員さんもまだいます。

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エレベータ

 エレベータは、車椅子ユーザーにとって最も安全で、かつ汎用性が高い段差昇降システムです。車椅子専用の段差昇降システムと違い、杖ユーザー、義足ユーザー、高齢者などにとっても便利なシステムです。いっぺんに乗ることが出来る人数に制約がありますので、大量輸送が必要な駅では効率上歓迎されない傾向にありますが、「バリアフリー」の言葉が浸透するにつれ、最近ぼつぼつ設置されるようになりました。
 しかし、「誰でも使える駅」の理念から設置されるようになったのはごく最近のことです。たとえば、1980年代に、博覧会開催と新しい都市開発を機に、改装・新設されたある駅でもなお、エレベータは、もっぱら車椅子ユーザーのためのみと位置づけられ、ホームから直接改札の外に出てしまいます。これでは、エレベータは自由に使うことが出来ません。チャイムを鳴らして、エレベータの鍵開けてくださーい、と呼ばなければなりません。車椅子ユーザーなら、堂々と呼び出せますが、ちょっと足許が悪くてエレベータ使いたい、という人には利用しにくいでしょう。車椅子ユーザーに比べれば、圧倒的に数が多いお年寄りなどが、無遠慮にガンガン利用してくれるととてもありがたいのですけどね(エレベータ専用のオペレータを必要とするほどに。ナンボ何でもうんざりするだろう)。これでは、安全だと言うだけで、後述のエスカル・エスカレータと何ら変わりはありません。また、車椅子ユーザー専用ということで、人通りのない(よく言えば巻き込み事故防止。悪くいえば邪魔だからどいてて)場所に設置されるため、ドアを開けたら浮浪者が寝ていて「キャーッ」となったり、それを防止するために、鍵をかけてしまって、挙げ句に担当者が帰ってしまったり、といったことも起きます。
 まだまだ、全線に一駅しか設置されていなかったりして、駅員への連絡無しで移動できるところは限られていますが、エレベータ設置は理念としては理解されるようになってきました。小さなスペースで簡単に後付けできるエレベータも出てきています。また、いたずら防止のために、扉を透明にするといった工夫がされるようにもなってきました。

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■■■ あやしい施設、見っけ♪ ■■■
 とはいうものの、依然として、「車椅子ユーザーのみのエレベータ?」というものも、新たに設置されている模様です。完全車椅子仕様?なエレベータ?の報告。
■■■  ランキングも見てね  ■■■

エスカレータ

 大量輸送に適しているため、よく設置されてます。上半身に自信のある車椅子ユーザーだと、エスカレータに自力で乗れる、という人もいます。下りは難しいですが、上りであれば、ちょっと慣れた介助者なら一人で乗せることが出来ます。やり方は、他のサイトを探してみて下さい。
 一本しかエスカレータがないという駅も多いです。昔は、エスカレータがあってもおみこしになることが多かったですが、最近ではほとんどがエスカレータを使います。一本しかない場合、反対方向に行きたいというときには、これを逆転させます。乗客を一度全部降ろし、逆転させるわけです。
 介助者一人いれば、なんとかエスカレータに乗せることは出来ます。しかし、2人付くことが多いようです。

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車椅子対応エスカレータ

 3段分の階段を一段にして、エスカレータに車椅子が乗るスペースができるようにしたものです。長いエスカレータ・ベルトの一カ所だけ、そういうことが出来るようになっています。その場所が出てくるまで、待たないとなりません。
 不思議なことに、このストップボタン、JRのエスカレータは全て手動です。段差がつながるところは青く着色されています。エスカレータに乗るときに見てみて下さい。真ん中ははげていますが、脇の部分に、青い塗料が付いている部分があるはずで、その塗料の分が一段になります。その両側に、何か目印があるらしく、それを見て、駅員さんがストップボタンを押して止め、車椅子を乗せて行きたい方へ再始動させます。しかし、きわめて微妙なタイミングなのか、しばしば止まらずに過ぎていってしまうんです。そうなると、また3−5分、回ってくるのを待たなければなりません。その間、エスカレータの上下には縄が張られ、他の乗客は完全に排除されます。さらに不思議なことに、私鉄の方は、このエスカレータは、ストップボタンを押しておけば自動的に止まります。逆転の場合はさすがに一度乗客を降ろしますが、そうでなければ乗客は乗せたままです。車椅子用スペースが近づくと、「エスカレータの速度が遅くなります。ご注意下さい」のアナウンスが流れてエスカレータが止まります。車椅子を乗せて再始動すると、「エスカレータが速くなります。ご注意下さい。」のアナウンスが流れてまた…、といった具合に、大変スマートです。待たされることもこれならばありません。
 気を付けなければいけないのは、車椅子は完全に駅員さんに乗せてもらうようにしなければならない、ということです。エスカレータによって、乗せる位置が違います。駅員さんも案外気を付けてはくれないので、自分の連れに乗せてもらい、その位置がズレていたりすると、思わぬ事故になることがあります。大型の車椅子だと乗らないことがあるほど、乗せる位置は車椅子のタイヤの位置きりきりしかありません。

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■■■ あやしい施設、見っけ♪ ■■■
 たぶん、初めてそういうエスカレータができたという話題のあった頃のことだと思います。初めてこのシステムを使ったときのこと。
 駅員さんが3人くらいハンドマイク持って飛び出してきて、エスカレータにナワを張って、マイクで車椅子を通します、と叫んで人々を排除して、昇降中は、頭の上では録音した女声のアナウンスとオルゴールが流れて…、というとんでもないものに出くわしたことがあります。あんまり馬鹿馬鹿しくて言葉を失いましたが、あれはいったいどこだったんだろう。
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 しかし、このエスカレータ、実はかなり問題ありです。そう、切り替えないでポンと乗せてくれるんならいいんです。でも、綱を張って、ほかの客を排除して、タイミングを見計らって、エスカレータをストップ、あ、失敗、行っちゃったあ...いやになるくらい時間がかかります。その間、足腰の弱い人は階段に回され、よーのすけはすごく肩身の狭い思いをすることになります。「乗りたいのに」といって、睨まれたことが何度あることか。

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車椅子で彷徨えば扉
Yoonosuke Hazuki[MailTo_ocean@mbc.nifty.com]