「アイシンがいいんですよね? 夏にFから聞いてます。デモ機取り寄せますよ。来たらすぐ持っていきます。」<
なんて気軽に請け負ってはや1ヶ月。
判定直後に急性腸炎にかかり、回復して間もなく年末モードになってしまったため、催促できず、年明けしばらくしたある日の昼頃、催促の電話をしたところ、その日の晩に返事が来ました
「今日の便で来ました。週末に持っていきますね。」
たった今来た?ほんとかねえ。
デモ機が来ました。日進製です。で、乗ってスイッチ入れて、レバー倒して、30センチくらい動いて…止まった? バッテリーメーターはゼロ。あのぉ、動かないんですけど。
担当者が次々具合が悪くなって先送りになってるこの電動車いすプロジェクト、今度は車いすの具合が悪くなって先送りです。
「交付書とどいてますよね。まだ見積もりが来てないんだけど出しましたか?」
なんと、役所が、あまりにも遅い!と言って来ました。そりゃそうですよね。申請してから半年、判定が出てから2ヶ月なんて、障害の状況が変わってしまってもいいころです。
今回はデモ機動きましたぁ。 けど、デモ中にみるみるバッテリーが減っていく…。やっぱり故障機、みたいでした。
バスが尻をこすりながら上がってくるという、急坂満載の住宅地にある我が家周辺でしたが、アイシンの動力はとくに問題もなくするする登ってくれました。車いすごと横に転けるかも、という歩道のツイストカーブ(わかるでしょ)も、ちゃんと登れたし。もっとも、こういう場面で、私が、常に体重移動をコントロールできる体幹機能を持っているかどうかは別問題ですが。
営業氏:「アイシンは、スピード出るし、力も強いですよ。JWじゃあ、こうは行きません。」
だ、そうです。
本体は、軸受けの問題があるとかで、でも、モジュールで、なんて言ったので、最初MSで、寸法をとっていたのですが、話をしているうちに、MSの調整範囲って、意外に少ないのね、ということがわかりました。
オーダーでもバックレストの張り調整はできるし、しかもバックレスト折りたたみもできる、と言われたので、オーダーにすることにしました。
ただし、今回はちゃんと仮合わせをしてよ、と頼みました。
OXの寸法を基本に採寸していきます。フレーム奥行きを眺めに取りました。シート幅とバックレストが体幹保持に重要だ、ということがOXのおかげでわかったので、その旨言うと、
営業氏:あまりきちきちにしない方がいいと思いますよ、背シート角度はあとでくさび形のクッションを入れて調整すればいいんだし。張りでずいぶん変わってくるし。
「転倒防止、どうします?介助者に跳ね上げられるのできます?」と聞いたところ、
営業氏:「アイシンは転倒防止付かないんです。その代わりに、車軸をセットバックして安定性を確保してるようで…。さっき乗ったのもなかったんですよ」
ひええ、それ聞いてたら、もっと慎重に急坂を…。
それはともかく、アイシンの仕様には、取り付け条件として「転倒防止が付くもの」が挙げられていたし、タオライトは、セットバック分車軸を前出しして、漕ぎやすさを確保してましたよ、と言ったところ、
営業氏:「そうか、そしたらもっと力も強くなりますもんね。そうしましょ。で、転倒防止高さ、普通は3センチなんだけど、何センチくらい乗り越えるつもりです? 5センチにしときましょうか。」
…どういう走りをするか見透かされた気がする。
トモトモさんに紹介してもらったP業者さんには、「アイシンの動力は力が強いから、急坂も上れてしまって危険なので、力を制御する方向に作る。セットバック分車軸の前出しなんてとんでもない。ヤマハでなら作りましょう。」って、忠告されたんですけどね。こっちが多分、アテトーゼ相手の普通の反応です。「体重移動で大丈夫っしょー。もっとスピードを求めるなら…」 なんて普通言わない。
バッテリーは、リチウムイオンバッテリーにして欲しいけど、できる?と聞きながら交付書を渡すと、
営業氏:あ、先生ずいぶんアレコレ付けてくれてますね…。はい、バッテリーはリチウムですね。見積書は作って送っておきます。
仮組ができるまでに1ヶ月から1ヶ月半かかるとか。カラーリングは、仮組の時に決めます。
1ヶ月半どころか2ヶ月かかって仮組みが来ました。初めて見ました。今まで仮合わせなんかしたことなかったから。ほんとに、枠にテープ状のシートを張っただけのもの。サイドガードも、アームレストもコントローラも付いていないもの。これでいったい何がわかるんだろう。彼合わせをしたことがない理由がわかったりして。
仕上がりは1ヶ月後だそうです。今度はあまり遅れないと思います、と。
来た。「納品に伺います」と、「自己負担を払ってください」のメールが。けれど、負担額が、ちょっとびっくりするお値段です。リチウムイオン電池に換えたから、その上乗せ分の負担は覚悟してたけど、この金額は何? というか、落ち着いて考えたら、見積書が役所にしか行かなくて、ユーザーに来ないって、どゆこと? 聞かなかった私も悪いけど。交付額は通知されるけど、ブツのお値段を業者は決定前に教えてくれなかったんですよね。請求書も一括で来たし。言ってくれなかったから、交付枠を越えないもんだとばかり思いこんでました。内訳を改めて調べたら、ユニット価格が交付額より高いものでした。
で、納品です。嬉しい…。けど、OXに慣れた身には、なんか不安定です。左右に腰が動くし、バックレストが低いのか…。車いす乗って怖い、と思ったのは、下げ忘れ調整をして以来です。こんな不安定な車いすにモーター積んで走れるんだろうか。
あれ、コントローラ取り付けの形が違う…コントローラをネジで下げて、高さ調節を可能にするとともに、机の下に入れるようになるのがウリで、そのつもりでアイシンにしたのに、コントローラが固定されてます。これじゃ話が違う。
営業氏:確かに取り付け金具、ストレートタイプとL字に曲がった奴と2つありました。これは標準がストレートなもんで…。確認しませんでした。これは私が責任を持って交換させてもらいます。
車庫の鉄板を降りようとすると、転倒防止が引っかかって、ホイールが浮きます。これって危ないんじゃない?と尋ねると、でも5センチにしましたから、との答え。どうも…なんだかねえ。
人様の簡易電動の動きと比べても何か変。業者に問い合わせのメール
今回は珍しく即座に飛んできました。「クレームかと思って焦りました」いつもはクレームと思わないから遅いのか?
営業氏:フットレストは増し締めいておきます。折りたたみはバッテリー外さないと無理です。転倒防止はウチの工場で切ってきます。7センチにしましょうかね。転倒防止、持っていきますから、絶対に乗らないでくださいよ。
せっかく来た車いすでしたが、転倒防止を外され、乗れなくなってしまいました。5日後に引っ越しを控えていたよーのすけ、電動が必須になる新しい環境に移る前に練習しておきたかったんですが、それもできず…。転倒防止が戻ってきたのは、引っ越しの前夜7時のことでした。
テーブルに着くたびにコントローラを抜いて、それを置くいすをもらって、外したら最後動けなくなって…で不便を感じつつ2ヶ月半。K製作所が言うとおり、いかにアイシンの対応が悪いと言っても、こう届いてるころだよな。また棚晒しにしてるんじゃないかな、と上記のメールを送ったけれどもなしのつぶて。1週間待って電話をしたところ
営業氏:すいません、忘れてました。
「今伺おうと思ってました」って言うのを期待してたんですが、忘れてたのね。メールの意味もわからなかったわけね。
十日ほど経ってコントローラ取り付け金具の交換が済み、これでとりあえず完成です。申請からほぼ1年後のことでした。