電動車いす?計画 2

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回る回るよたらいは回る

申請以前の水際作戦に引っかかる(たぷん2007年8月ごろ)

更生相談所

たらいに乗せられた車いす  「電動? だったら管轄はウチじゃなくて県だから。ここに直接電話をかけて。」と、窓口のI氏から更生相談所の番号を渡されたのが、思い起こせば前年の春。あれからもう1年以上経っちゃってんじゃん。

まさか言語障害で蹴られたりしないよな、と思いつつ、電話をかけます。

県ワーカー:はい、こちら更生相談所Sです。
よーのすけ:えーと。電動作ろうと思いまして。初めてなので、判定受けたいんですが。
県ワーカー:初めてです? だったら市町村の方で申請してください。
よーのすけ:いや、市町村の窓口へ行ったら、こっちに直接電話して、予約を取れと言われたんですけど。
県ワーカー:それは2回目以降の話です。私、ちょうどそちらの地区の担当なので、市町村の福祉課へ連絡して、お宅へ連絡させます。

あれ? そういえば福祉課の障害係、担当が変わったんだよな、やる気なさげだったI氏から、結構ちゃんとわかっているY氏に…。

市町村

小一時間ほど経ったころ、市町村の福祉課から電話がありました。

福祉課Y:どーもー。福祉課のYです。先ほど県のSさんから電話がありまして。はづきさん、身体機能が落ちたとか、そういうことはないんですよね。
よーのすけ:それはないんですが…。ほら、今年駅にエレベータできたでしょう。あれで、電動使えるようになるんじゃないかと思って。
福祉課Y:それがね、手動が漕げなくなったとかってのがないとだめだって言われたんですよ。
よーのすけ:ええええ? だって、私より身体機能が上の人が電動出てますよ。皆さん、私の上肢レベルで手動で外に出るのは異常だ、無理なはずだ、とおっしゃる身体機能レベルなんですよ。今まで電動を申請しなかったのは、持ってても駅にエレベータがなかったからで。
福祉課Y:駅にエレベータが付いたってのは交付理由にならないんですよ。
よーのすけ:そんなあ。私、もう嫌なんですよ。行く先々で、漕ぎきれるかどうか考え考え出かけるの。肩も痛いし。たった5分の距離でタクシー使うの嫌ですよ。タクシー乗るの、それでなくても嫌な思いするし。
福祉課Y:あ、それって、電動で、活動範囲が広がる、生活の質が向上する、という話ですね。そうかそうか。その線でもう一回、頑張って県に相談してみますよ。せめて、県の調査を入れるところまでは、私、頑張ります。

あっさりOK。しかし…

間もなく、再度の電話。

福祉課Y:どーもー。福祉課のYです。先ほどの件、それなら当然だ、という話になりました。それてですね、まずは私が伺って、県の調査をお願いするための書類を作ります。
よーのすけ:判定の申請ですね。
福祉課Y:いえ、そうではなくて。うち、郡部でしょう。福祉事務所がなくて、ワーカーを置いていないので、現況調査ができないことになっているんですよ。それで、県に現況調査に入ってください、ってお願いするための書類があって、そのための調査なんです。私が頑張ってできるのは、調査を却下されないように書類を作る、そこまでなんです。

現況調査を入れるための現況調査? なんて権威主義的な!

後日、この話を経験豊かな障害者仲間にしたところ、「そんな、話も聞かず、姿も見ずに拒否するなよ…」と言いました。ごもっとも。

現況調査のための現況調査(たぶん2007年お盆明け)

現況当日。仕事をオフにして待ってました。しかし、時間になっても現れません。
1時間待っても来ないので、福祉課に問い合わせたところ、「は? Yは盆明けから長期病欠になってまして…。現況調査? 何も聞いてませんが。」

聞いてない? それは困る。よーのすけだって暇じゃないんだ。

さすがにドタキャンはまずい、と思ったのか、療養中のYさんに無理矢理連絡をとり、別の職員が調査にやって来ました。「私、こういうの初めてなんですよね…。」とか言いながら。

「家の間取り図」とか(外で使うのに何でだ?)、調査は小一時間で済みました。「今日中に書類を作って、明日は発送します。5日くらいで返事が来ると思います。」とのことです。

ワーカーが留守? なんじゃそれ(たぶん2007年8月の末から9月の頭にかけて)

といいつつ、10日以上経っても返事が来ません。督促だ督促。

福祉課K:Yは、まだ復帰できていないんですよ…。書類は、翌日の午後すぐ発送してますんで、着いてるはずです。そうですよね、もう何か言ってきてもいい頃ですよねえ。確認してみますね。

福祉課K:なんだか、すごく忙しいみたいで。届いてることは届いてるそうなんですが。

5日後、もう一回督促。

福祉課K:担当のワーカー、10月いっぱい出張続きで不在なんですって。で、11月まで調査の目処が立たない、と。あ、調査の方は大丈夫、入るそうです」

門前払いにはなりませんでしたが、現況調査に2ヶ月ってどゆこと? ワーカーが2ヶ月留守ってどゆこと?

やっと現況調査<(たぶん2007年11月半ばごろ)

新製品の商品化は国際福祉機器展、11月にはします…できると思います、という、営業の方のお話しだったので、それほど急ぎはしなかったんですけどね。

それにしてもさ、8月に申請して、11月に現況ってどういうことよ。普通なら車いすできてますよ。

県ワーカーの見立て。
「はづきさんの使い方は、簡易電動をこう使って欲しい、というきわめて望ましい使い方ですね。いや、作業所の中で動くのに使いたい、みたいな使い方がほとんどなもんですから。これなら確実に出ますよ。問題は判定の日取りだな。月に2回しかありませんし、1日に2人しかできませんからねえ。

水際で蹴った奴が何をいうやら。
ってか、日本で有数の人口を誇る県で、判定が月に4人しかできない、って、どゆこと?

判定は問題なし<(たぶん2007年12月はじめごろ)

今を去ることン十年前、養護学校と児童訓練施設が併設されていた、今は更生相談所がら判定会場です。大昔、通所してました、と言ったら、「一番古い職員です」という人が出て来ましたが、よーのすけは最古参よりも古かった!

ロビーで、「はづきさん?」と若い人から声をかけられました。地元自治体の福祉課職員Kさんでした。「Yは今月から復帰したんですが、今回は私が来ました。私、判定も車いす作るのも初めてなんです。簡易電動?いいえ、見たことありません。」そんなんで障害福祉係、大丈夫なん?

約束の1時に、現況調査をしたSワーカーが現れる…と思いきや、別の人が現れました。「はじめまして。Tです。Sは今日急に病欠しまして…。私が代わりに担当します。はづきさんは2人目なのでお待ちください。」、どうも今回の車いすつくりは関わったワーカーが倒れる運命にあるらしい。待合室で待たされること2時間。手洗いに立った際、様子を伺っていたら、どうも周囲を見ないで歩いちゃうタイプの様子です。「これは危ないね。出せないね。」「でも、外を歩くときはガイドヘルパー付くんですから。」「そうだねガイドヘルパーが付くことが条件だね。しかしそれなら電動でなくてもよかろ。」可哀想に。

いきなり簡易電動に乗せられます。ヤマハの電動ユニット4Kmタイプ。よーのすけが座るとかなりすかすか。「操作右ね」と堪忍だけされて、簡単なスイッチの説明だけ受けて、安全ベルトを締められて、速度3程度にして、レッツゴー。廊下に出てまずはいきなりのスラローム。よーのすけ、いきなりウィリーで走り出すロケットスタート電動とか、操作左電動とか、友人たちの変なクセの付いた電動で遊んでたから、何とかできるけど…と思いましたが、練習もなしにいきなりスラロームはないですよねえ。しかも、なんじゃいな、この電動、走り出しで前輪が左右にぶれるよ。判定用JW1は、コントローラを倒してもしばらくは反応せず、何で動かないのかな、と思っていると突然、ガガガガガとキャスターが震え、一度小さく蛇行してから走り出すという代物で、CP的にはびっくり反応が出ます。4キロタイプだったけど、とうとうフルスピードで走れなかったです。縦横に揺れるんだもん、怖くって。びっくり反応用のトラップですか。(単に古くて整備不良なだけでしょう)

スラロームの後は、バック、エレベータの前乗り、後ろ乗り。バック操作の勝手が全然わからず大パックに(実は自動車と逆なのです)。外に出て、スロープの上り下りと段差越え。

PT曰く
「段差がきついときは後輪から。段差は直角に入って、両輪を一緒に乗せないと転ぶわよ。」

でも、実際に乗ってわかった。逆ですね。確かに大型電動は後ろからの方が段差に強いむ。でも簡易電動は、後ろから上がったらキャスターが引っかかって上がれない。段差も両輪直角にぶつけちゃったら、衝撃だけがひどくてむしろ危険。片輪ずつ上げた方が、衝撃が少ないです。これはキャストアップができない人の段差越えと同じです。

とはいえ初めてでそれだけ乗れれば「とってもお上手」ということで、技術的は問題なし。メーカーの予定はありますか、と聞かれたので、アイシン精機で、と答えたら、PTもワーカーも「そんなの知らない」とおっしゃいます。それで、PTも更生相談をする更生相談所のワーカーも務まるんだねえ。一介の車いすユーザーによる、こんなへっぽこサイトが頼りにされるわけだ。

それから医師の診断を受けます。「安全ベルト、とりあえず付けようね。要らなかったら丸めておけばいいから。座位保持は? 欲しい? ホイールカバー付けるよ。泥よけも付けよう。こんなもんかな。」黙っていたら、何かいっぱい付けてくれました。

翌日には交付許可証が届くとのこと。

そこで素直に北楠りゃよかったんですよね。更生相談日には業者がいっぱい来ている来てるはずだから、とちょっと覗いたのがいけなかった。会っちゃったんですよねえ。20年来の付き合いのK製作所の担当に。

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車椅子で彷徨えば扉
Yoonosuke Hazuki[Mail_ocean@mbc.nifty.com]