車いすで電車に乗る

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どうして電車?

 車椅子で電車に乗る。これは、車椅子ユーザーでない人にとって、不可能にしか思えない芸当らしいです。今はそれほどでもないかもしれませんが。障害児を持つご両親だと、車での移動しかできないと思っていたり、少しでも歩ければ、歩かせて、後は体力に任せておんぶか抱っこで出掛けるとかしているのではないでしょうか。バギーに乗っかる程度のサイズの時代はそれで何とかなりますが、一人前のサイズになるにつれ、だんだん外出がおっくうになっていきます。実は、我が家の両親もそう思っておりまして、車椅子で電車に乗れるなんて考えもしなかったようです。車の運転も、知っているところしか行かれない、という人達だったので、よーのすけが、車の免許をとる、といったことでアドバイスを受けるために、県内に2つしかないリハビリセンターへの相談を薦められたときの狼狽ぶりといったらなかったほどです(今なら、よーのすけ、たぶん車とばしていきますが)。かくて、出掛ける、というのは、たぶん、富士登山くらいのオオゴトでした。

 幸いにして、大学で、脳性マヒ者サポートのアルバイトしていた先輩と知り合いになりまして、一度、そのアルバイト先に電車で連れていってもらいました。それを機に、友達と出掛けてみたり、妹くんと出掛けてみたりするようになりました。しかし、このころのよーのすけ、自分で乗っているわけではなかったので、なーんにも知りませんで。「乗り換え」ということも知らなかったし、ホームが複数あったりすることも知らなかったもんね。たとえば、鈍行から急行に乗り換えないといけないとき、相手は、当然知っていることを前提に、「乗り換える?}なんて聞くわけですが、「いいや、これで」なんて、答えたりして。今考えると、恥ずしくてかないませんが。保護者なしで外に出るなんてこと、全くなかったので、よーのすけ、信じられないくらい無知でした(今も無知だけれど多少マシになった)。

 一人で乗り始めたのはここ数年のことです。オトナになると、結構東京に出掛けなければならない、という機会が増えてきます。いい加減親連れで行くのも嫌ですし、彼らも、車椅子で電車に乗る経験をそれほどしているわけではない。そのため、すごく大変なことに感じられるらしく、付き添いたがりましたが、それを振り切って一人で乗り始めました。一人で乗るようになると、さすがに自分の頭で路線など考えるようになりますから、ちょっとは常識的になっていきます。

 もちろん、よーのすけは、車の運転もしますが、やはり、都内へ時間通りに行く、という話になると、車ではちとしんどいです。時間が読めないし、電車の倍見ておく必要があるし、高速代がこれまた高い。たいてい、電車で最寄りの駅まで行って、タクシーでワンメータ、という計画を立てます。車椅子の積みおろしや、乗り込みの手伝いはタクシーの運転手さんがしてくれますし、通りすがりの人も手伝ってくれます。「付き添い」がいない方が、駅員さんもキンチョーするらしく、健常者の連れがいるときに比べると実に細やかに配慮をしてくれます。運がいいのか、今のところのっぴきならない目に遭ったことはありません。少なくとも健常者が想像するほどタイヘンなことではないです

 総じて、このごろ、電車は驚くほど乗りやすくなりました。よーのすけが電車に乗り始めたのは、89年頃からですが、当時、私鉄はともかくJRなんか、15分とか平気で待たされたものです。時間に間に合わないよ〜、なんてよくありました。人海戦術で階段を移動するにしろ、車椅子の変なところを支えられて落とされそうになったりとかね。それが、最近親切なこと。東京は、まあ、多少問題はあるものの、昇降のシステムがそれなりに整備されるようになってきました。 え〜 なんて顔もあまりされなくなりましたしね。

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車椅子で彷徨えば扉
Yonosuke Hazuki[Mail__ocean@mbc.nifty.com]