車いすで電車に乗る

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電車に乗る

ホームまで

 改札をくぐったら、あとは基本的に駅員さん任せとなります。とはいえ、後述するように、駅の状況がわかってくれば、こちらの方が、主導権を取ることも出来ますし、それが出来れば、その方が楽できます。しかし、最初は、何もわかりません。車椅子ルートは健常者にはわからないので、参考になるものがありません。経験から徐々に学ぶしかないです。駅員さんが何らかの階段昇降システムを使って、ホームに運んでくれます。

 よーのすけの最寄りJR駅は、ホームが2本あり、うち1本には階段なしで行くことができます。エスカレータが一本あるきり(全くなかったかも)なので、車椅子はすべて手運び−おみこし−となります。最寄り私鉄駅は、終点で線路が一本しかなく、全く階段がない出口が一つあります。いずれも、送ってきた人に電車にまで押し込んでもらいます。さすがに、入場券を買え、とケチなことを言われたことはありません。

 JR駅の方は、この階段のないほうから上り電車のほとんどが出ます。しかし、別のホームから出るものも時にはあります。その場合、向こうに渡してくれることはまずなく、1本待たされます。人手不足のため、15分やそこらでは、4人の人員を確保できないのです。電車がどのホームから出るかを予め時刻表で調べておくことは必須です。

 まだ、この駅から下り電車に乗ったことはないのですが、この場合は、電車何本見送ることになることやら。

 ちなみに、復路は下りホームになるわけですが、出発駅から連絡を入れてもらうと、「うーん、あそこ、電話出ないのよね。」と言われるほどです。

行き先駅への連絡

 目的地にエレベータが設置されているか、階段がない駅ならば問題ありませんが、そういうことはあまりありませんので、駅長室に声をかけるか、車掌さんに声をかけ、行き先の駅に連絡をしてもらいます。エレベータがあっても、鍵かけてあったりしますし、着いてから頼もう、と思っても人員確保に時間がかかることがあるので、一般開放エレベータの在処が確実にわかってない限りは、出発駅で連絡をしておいた方がいいです。今のところ、一つの線でエレベータがあるのはせいぜい1駅ですから、連絡は必ず必要だと言えるでしょう。駅は、少なくとも2カ所ないと、役に立たないのにね。

 よーのすけの経験では、JRは、知らん顔して構内に入ると、駅員も知らん顔をしています。「階段上げて下さい。」「連絡お願いします。」と言ったら、「何を。」と言われて、困ったことがあります。階段上げて、って言うのに、一人だけ寄越して、これがぼーっと突っ立って「ボク、何すればいいんですか。」って聞くんだもの。あ、最近は、こんなこと、ないですよ。でも、エレベータどこですか、って聞くと、黙って指さすだけだったりしますから。これに対して、私鉄は、いらない、と言っても、追っかけてきて行き先を聞いてきます。そして、車掌の目の届く車両に乗せられます。

 到着先に連絡する内容は、何分発・どこ行き・何号車です。したがって、どの電車に乗せたか、必ず駅員が付いてきて確認します。したがって、階段無しの乗換駅であっても、必ず駅員さんが出てこなければいけません。到着先までの距離が短いと、投稿駅の用意が間に合わないといって、何本か見送りさせられることもあります。何らかの階段昇降システムが存在し、人員確保が少なくてもいい駅であり、かつ、健常者の連れがいる場合は、着いてから、駅員を呼びに行ってもらった方がいいかもしれません。連絡するんじゃなかった、と思うケースも、たまにはあります。

どの車両に乗るのか

 JRの場合、車椅子マークが貼り付けられた車両は、車掌さんのいる車両と、グリーン車の前の車両です。車椅子用のスペースと比較的広い−でも車椅子で使うのにはきついかもしれない−お手洗いができてます。そのほか、このマークは、補助席を跳ね上げて車椅子用スペースを確保できる(ボックス席タイプに多い)ことを意味していることもあります。後者の場合、現に補助席が出され、人が座っていると、なかなかどけてまで設置できないのが実際のところです。

 駅員さん介助で電車に乗るからといって、必ずしも車椅子用車両に乗せてもらえるわけではありません。よーのすけの最寄り駅の場合、よーのすけが月に何度か乗りますし、それも必ず1号車に乗るものだから、1号車に乗れ、と指示されます。しかし、実は4号車も車椅子用車両です。けれどもそれを知っている駅員さんはあまりいないようです。駅や鉄道会社によって取り扱いは全く違います。よーのすけの経験では、乗降客の少ない郊外に行くほど、車掌のいる最後尾車両に乗せたがり、乗降客の多いターミナル駅ほど、一番手近の車両に押し込まれることが多いようです。介助に出てくる駅員さんが、配車表を見ている可能性はまずなく、「何号車に乗りますか」と聞かれることもあります。こんなとき、「車椅子用車両」に、なんて答えてはだめです。「それは何号車ですか」と聞かれますから。予めわかっていれば、できるだけ階段昇降システムの近くに乗せてもらうようにしましょう。まあ、ホーム上は大概駅員さんが押してくれますので、まず大丈夫ですが。ホーム上は狭かったり傾いたり(それも線路側に向かって)しているので、押してもらわないと危険です。しかし、電動車椅子ユーザーと混同するのか、全く手を出してくれない場合もあります。

 普通の車両に乗った場合、どこに車椅子を停めるか、は、悩ましいところです。最前・最後であれば、壁面がありますし、なくても、車掌室・運転席の扉をふさぐ形で停めることができます。そうでなければ、扉の縁の20cmほどの壁に車椅子の後輪を当てる形で停めることになります。いつも乗っている列車であれば、ドアの開く側がわかるので、なるべく開かない側に車椅子を停めますが、なかなかそうはいかないんですよね。背後でドアが開きますからちょっと怖いです。しかも乗降のかなり邪魔になってしまいます。電車の揺れで車椅子がスリップしたりしますので、車椅子の一部を、どこかにくっつけておくほうが気分だけでも安心できます。

車両の乗降

 車椅子ユーザーは、車両の乗降も単独では困難です。ホームと列車の間の隙間は、よほど運が良くない限り、車椅子で越えられる程度のものとはなりません。さらに、ホームが古く旧規格の車両対応のままだと、段差が大きくて後輪と前輪の幅を超える場合があり、こうなると介助者一人付いても乗降できません。同様に、ホームが曲がっていて、ホームと列車の間の隙間が、後輪と前輪の幅を超えてしまうケースもあります。

 ほとんどの場合、列車の乗降は、駅員さんの責任において介助が付きます。乗るときは、前向きで、前輪を車両にかけてから後ろを上げます。降りるときは、後ろ向きで後輪を降ろしてもらってから、前輪を降ろします。最近では、折り畳み式の「渡り板」が持ち出され、ホームと列車の間に渡されます。このときも、要領は同じです。ほとんど段差も隙間もないときでもこれが出てくることがあります。おそらく、電動式車椅子のためだと思われます。この「渡り板」の欠点は、渡り板を駅員さんが抱えているために、車椅子を押してもらえない、ということでしょう。

 時には、お連れさんに任されてしまい、駅員さんが付いていない、というケースもあります。段差・隙間が大きすぎて、介助者一人では往生することがあります。そういう場合、乗客の人々に声をかけ、前を引き上げてもらいます。

 連絡をしておいたにもかかわらず、到着駅に駅員さんが来ていないこともあります。人によっては、それで乗り過ごすこともある、といいます(よーのすけには信じられませんが)。よーのすけの場合、到着駅に近づくと、さて、降りるぞ、というそぶりをします。カバンを担ぎ直してみたり、イヤホンを畳んでみたりするわけです。車内には、こちらを注目している人々が結構います。なんとなく、雰囲気でわかりますので、ホームに駅員さんが来ていない場合、うまく息を合わせて、ドアに背を向け、「降りまーす。」と言ってみると、誰かが降ろしてくれます。お礼を言ううちに、駅員さんが駆けつけてきます。

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車椅子で彷徨えば扉
Yonosuke Hazuki[Mail__ocean@mbc.nifty.com]