脳性マヒってどんなもん? -5

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二次障害

 先に一言言い訳しておきます。よーのすけ、出来ればこのトピック書きたくありませんでした。というのは、よーのすけ自身、これについてほとんど知識がなく、誤った情報を提供するのは目に見えているからです。

 しかし、当サイトを訪れる人たちの年齢や、状況からして、やはりこのトピックは避けては通れないだろうと思われます。二次障害が知られるようになってきたのは、ごく最近のことです。当事者たちの間では、そうしたことは経験的に語られてきました。しかし、十分に知られているとは言えません。脳性マヒ者でさえ、脳性マヒ者の当事者団体などに関わっていない限り、二次障害についての知識を持たないことがままあります。1980年代には、地域訓練会などで、リハビリを受け、一応脳性マヒ児ネットワークの中にいたはずのよーのすけでさえ、脳性マヒ者の当事者団体に顔を出すまで、二次障害なるものがあると聞いたこともありませんでした。

 当サイトのご訪問者の皆さんは、障害を持ちながらもそれぞれごく普通の生活をしている方がほとんどです。そうなると、身近に同じ脳性マヒの身体を持つ人がいる、ということはほとんどないでしょう。それを考えると、怪しいながら、二次障害について少しだけ耳打ちしておくのも悪くはないかも、と思いましたので、ものすごくいい加減ではありますが、ここで少し触れておきます。

二次障害とは

 厚生労働省の定義によれば、脳性マヒとは、「脳に損傷を受け、主に手足を動かすための筋肉が正常に機能しないこと」でした。したがって、損傷のそのものは進まず、したがって、障害は重くならないはずです。しかし、実際には、リハビリテーションの項で述べたように、身体には様々な無理がかかっていますから、長く使うほどにガタが出て来ます。健常者でも、20代後半から30代にかけ、次第に筋肉量、代謝ともに落ち、体力の衰えを感じると言います。脳性マヒ者の場合、右肩上がりの体力によって支えられていた身体的諸機能が、体力の向上が止まったとたん、ぱたっと落ちてしまうことがあります。この落ち方は、それまでの身体機能の程度によって様々ですし、出てくる年齢、出方とも一定ではありません。

 マヒのある身体を無理して使うことにより、ガタが来るのが二次障害です。脳性マヒの場合、多かれ少なかれ緊張があり、緊張に抗して身体を動かそうとしますので、身体にかかる負担は大きくなります。

 比較的よく知られているのは、首回りの緊張に由来する「頸椎症」ですが、腰痛、身体の変形等もこれに入ります。

どんな風に出るの?

 時期や出方は様々です。早い人は、20代くらいから兆候が現れる人もいます。

 歩ける人の場合、顕著に言えば、歩けなくなります。身体が動きにくくなり、転びやすくなったり、全く歩けなくなることもあります。歩く訓練をサボって体力が落ちたからでは決してありませんので、ご本人も回りの方々も誤解なきよう。いわば部品がすり減ってちゃんと動かなくなった状態です。残念ですが、身体機能は戻りません。生活の質を維持するため、別のやり方を探す必要があります。

 肩や首、腰、背中などの筋肉痛が抜けなくなります。その痛みで、緊張がひどくなる悪循環に陥ることも。

 よーのすけの場合、とうとう実用歩行ができるほどの歩行能力を獲得出来ませんでした。19ですっぱり歩くことをあきらめまして、車イスに切り替えました。筋肉は落ち、以前は手を引かれてそこそこ外出できたのが、1年で車イスなしには外出できない身体になりましたが、その代わり、劇的な身体機能の低下には今のところ見舞われておりません。ただ、肩回りの痛みは抜けなくなっていて、これはつらいし、将来こわいところです。

頸椎症について

 二次障害の中でも有名かつ一番こわいのが頸椎症です。ほとんど二次障害の代名詞になっています。万年むち打ち症状態のアテトーゼ型に顕著に表れますが、痙直型の人でも首と肩には力が入っていますので、現れてきます。

症状など

 極度の緊張や不随意運動で頸椎に無理な力がかかり、頸椎の軟骨がすり減ったり変形するのが頸椎症です。健常な人でもなで肩の多い日本人は多い病気だそうです(健常者の場合は頸椎ヘルニアと呼ぶらしい)。レントゲンを撮って、頸椎の隙間が空いているかどうかを確認します。

 首回りの痛みがひどくなり、腕や手のしびれ、ひどい頭痛や痛みが現れることもあります。また、身体のコントロールが全く出来なくなったりします。時には心臓マヒ、なんていう恐ろしいことも。

治療

 どうにもこうにもならなくなる前の治療が必要だそうです。何とか現状維持に持って行く方向で治療します。

 よく行われるのが外科手術です。頸椎をボルトで固定したり、腰の骨を移植することで頸を固定します。術後、緊張のパターンが変わってしまうので、自分の身体に慣れるまでが、かなり大変らしいです。

 新しい治療法で、「ボツリヌス菌療法」というのがあります。こボツリヌス菌は、神経伝達をブロックしてマヒさせます、毒性を弱めたボツリヌス菌を注射することで、頸に不随意運動を起こす神経伝達をブロックし、頸への負担を軽減する療法です。

予防

 しかし、できるもんなら起きる前に予防したい二次障害。しかし、今のところ有効な手当はない、というのが現状です。

 緊張を取るためのマッサージや、ストレッチ、カイロプラクティック、整体などがよいとは言われていますが、決定的ではありません。下手な東洋医学に引っかかると、取り返し付かなくなりますから、くれぐれもご注意のほどを。脳性マヒの身体って、知らない人には予想の付かない反応をしますので。

 長時間同じ姿勢をしない、緊張を持続させない、無理をしない、という程度しか、今のところは言えないようです。でも、脳性マヒなんて無理してナンボ、というのが、よーのすけの正直な実感でもあるし…。

 こわい話ではありますが、こういうこともあるかも、ということは、頭の隅に置いた方がいいと思います。特に若い人たちは、「歩け歩け」で無理をしがちなので、気をつけてくださいね。

参考資料


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車椅子で彷徨えば扉
Yoonosuke Hazuki[Mail_ocean@mbc.nifty.com]