実際のところ、正式にどう適用されているのかは知りません。けれども文章化された基準を見る限り、厳密には、最初の三つ(公共施設出入り口のスロープ・身体障害者仕様トイレ・車椅子ユーザー用駐車スペース)と、低床バスを除いて、無条件では適用できないんじゃないかと思います。
えーっ、と思ったあなた、そもそもこのマークって何なのか、ご存じですか。
この「車椅子マーク」は、
国際リハビリテーション協会(RI)が決めた障害者によるアクセスのための国際シンボルマーク(International Symbol of Access)
なんです。
このマークは、障害者が利用できる建築物・施設であることを明確に示すためのもので、障害者が住みよい街づくりに寄与することをねらいとしているそうです。
このマークの基準は、以下の通り。
施設 | 条件 |
---|---|
玄関 | 地面と同じ高さにするほか、階段の代わりに・または階段のほかに、ランプ(スロープ/傾斜路)を設置する。 |
出入り口 | 80cm以上開くものとする。 回転ドアの場合は、別の入り口を併設する。 |
ランプ (スロープ/傾斜路) | 傾斜は1/12(勾配 4.5度強)以下とする。 室内外を問わず、階段の代わりに・または階段のほかに、ランプ(スロープ/傾斜路)を設置する。 |
道路・廊下 | 130cm以上の幅とする |
トイレ | 利用しやすい場所にあり、外開きドアで、仕切り内部が広く、手すりが付いたものとする。 |
エレベータ | 入り口の幅は80cm以上とする。 |
ちなみに、一般住宅での基準は、こうなってます
審査なんかは特にありません。基準を満たしていれば、自由に表示できます。
〈参考資料〉
財団法人日本障害者リハビリテーション協会 : 「国際シンボルマーク」(チラシ)
建築物・施設であることがポイントになります。
基本的には、建物全体についてアクセシブルであることを表示するものだと思います。
以下、見方は色々あるでしょうが、よーのすけの解答。コメント付きでどうぞ。
ここまで書いてて気が付いた。この車椅子マーク、本来の意味に加えて、そのほかふたつの意味に分裂していませんか?
このシンボルマークの意図は、それを表示することによって、障害者のアクセスを全面的に保障するもののはずです。つまり、厳しいことを言えば、この施設に関して、アクセスできないところはありません、という意味でないといけないはずなんです。それが、微妙にズレて、「障害のある方は、専用ルートに迂回して下さい」に化けている。
ISA配布パンフレットに、「このステッカーは、路上駐車の除外を許可するものではありません」とわざわざ書いてあるところを見ると、この事態、かなり進行しているようですね。
このマークは、「アクセス可能」を宣言するものであって、間違っても「当方は障害者です」と宣言するものじゃないんです。でもそうなってしまっている。そもそも、障害がある人間て、「私は障害者ですよ」と、名乗りを挙げて、社会に出ていかなければならないものでしょうか。「障害者モノ」がむやみにこのシールを貼ってあるのを見ると、ついそんなことを思ってしまいます。かくいうよーのすけも、このステッカーを車から外して、車社会に出ていく自信が今ひとつない、というところに、問題の根深さを感じますけれども。
(もっとも。上でも触れましたが、このマーク、車椅子ドライバー同士のコミニュケーション手段としてはアリかも、とは思っています。あまり大きな声では言いませんが、障害者用駐車スペースにいかにも元気な人間の車が停まってたりすると、よーのすけ、その車が出られないようにぴったりくっつけて停める、という嫌がらせしたりするもんで…。内緒よ。)
ちなみに、2004年に、(平成14年)身体障害者が運転する自動車であることを示すマークができました。「身体障害者標識(身障者マーク・クローバーマーク」)です。クローバーマークを表示している車に対しては、「若葉マークに対するのと同じ配慮が他の運転者に対して求められます。詳しくはクローバーマークをどうぞ。
…まずい。またオチが付かなくなってきた。
話を「障害者アクセス可能のシンボルマーク」に戻します。
このマークの基準は、「車椅子」がシンボルになっていることからもおわかりのように、「肢体不自由」だけが対象になっています。
このマークは、建前上は、「アクセス一般に対する基準」である、ということになっています。でも、基準の中に、視覚・聴覚障害者に関する基準は全く盛り込まれていません。もっとも、全く違う設備を必要とする人々に対するインフォメーションのために、同じマークでいいのか、といわれると、かなり疑問ですが。
■■■ あやしい施設、見っけ♪ ■■■ |
そういえば、エレベータのコンソールパネルに付いている点字、どうして、車椅子ユーザー用の低いパネルに付いているんでしょう。昔から不思議でしょうがないんですけど。見えてるよーのすけの思いこみかもしれないけれど、普通、少なくとも歩いている視覚障害者は、まず高い方のパネルを探るよねえ。 あと、必ず、車椅子ユーザー用の迂回路に続く点字ブロックとか。けっこう謎。車椅子ユーザーで、なおかつ視覚障害者、という人への配慮? 正直言って、そこまで考えているとは思えないけどなあ。 |
■■■ ランキングも見てね ■■■ |
このマーク、やはり、できるなら、ちゃんとしたインフォメーション機能を果たして欲しいところです。「身障者」として、なんでもかんでも一括りにするのではなく、「ここまでのアクセスをこのマークによって保障します、というような。
アクセスを絶えず制限されざるをえない人々にとって、本当に必要なのは、アクセスに関する正確な情報のはずです。それによって、予め準備をしたり、(癪にさわりますが)回避策をとったりできるわけですから。