ネックレスを自分で着ける。

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あってもなくてもいいもんなんだけどね

 アクセサリー。かほどにあってもなくても構わない、まさしく「ゼイタク品」であるものもないとは思いますが。「そんなもん着けてるヒマがあったら、自分でメシの支度ぐらい出来るようにしろ。」そりゃそうかもしませんけど。でもイマドキの若いモン、食うもの食わなくても、おしゃれしたいのは当たり前。そういう選択肢があってもいい。女も男も、そこは同じですよね。

 こういうことを言うのは不遜ではありますが、着替えに介助が必要であれば、アクセサリー着用、お化粧込みの介助を生活の中に組み込んで生活します。ところが、なまじ着替えも身支度もお化粧・ひげ剃りも一通り自分で出来ると、その部分は、当然「人手を借りる」という発想、すっぽり抜け落ちます。よーのすけの場合、朝起きて、顔も洗えて、ひげも剃れて(←おいおい)、ブラも自分で着けられて、ずっと出来なかった利き手のカフスボタンも自助具のおかげで留められるようになって、ストッキングも時々引っかけながら自分で履けて、お化粧も塗れるので、とりあえずはしゃんとした恰好を作ることが出来ます。

 こんなよーのすけでも、唯一自分でどうにもならないのがネックレス。父が出張の多い人で、出かけるたびに、妻と娘たちになにがしか買ってきていたので、ネックレスを所持し始めて30年、ことあるごとに努力はしたのですが、どうにも自分で着けられない。朝の忙しいときに、「おかーちゃーん」と呼んで着けてもらうほかはなく、後で、と言っているうちに忘れてしまうし、結局面倒くさくなります。身支度の介助、というのが自分の頭からすっぽり抜けているので、イレギュラー要素なんです。

 手動・自操車いすユーザーやってますと、着けられるアクセサリーって実は首輪と耳輪くらいしかなかったりします。腕輪・指輪は車いす操作の妨げになるんです。「いて、リムと指輪に皮を挟まれた」とか言いつつはめてますけどね。

 30歳くらいサバ読んでないか、と言われるほど古ひた性格のよーのすけですが、「アクセサリーは冠婚葬祭の特別なもの」ではなくて、「普段、着けたいときに、普通に着けるもの」という感覚は持ち合わせています。アクセサリー着けるために介助者手配する、という大仕事にならずに、せめて、小さいボタンが前に並んだシャツを着る、ぐらいの努力でなんとかならないものか、と、ずっと考えてました。

アクセサリーはデザインが命

 身につけるものは、本来何でもそうなんですが、まずはデザインありきなんですよね。服の場合、「着ない」という選択は出来ませんので(この選択をすると我が国では軽犯罪になります。)、「着やすい服」なんてものが出てきたり、自分で着られるようなデザインの範囲で選びますが、本当は、後ろにくるみボタンのずらっと並んだ服(一頃流行りました。)とか、好きだったら着たいわけですよ。

 アクセサリーの場合、まさに着けても着けなくてもいいものなので、選ぶ基準はデザインしかありえません。ここ、結構勘違いする人が多くて、「そんなにネックレスがしたいのなら、頭からかぶるネックレスすればいいじゃん。」とか、鎖を全部長くしちゃえばかぶれるよ。」とか、平気でいう人がいますが、違うんだってば。10年くらい前にも、よーのすけ、ネックレスの金具を考案してたことがあり(何年おきかに思いつく)、それをたまたま祖母に知られ、ながーいながーいネックレスや、これなら出来るんじゃないの、という不思議な金具のネックレスを次から次へと通信販売で仕入れてくるようになり、やめて頂くのに苦労したことがあります。なにしろ、アクセサリーなんて金額でしか選んでこなかった世代の人の買い物ですから、「誰がこんなものするんだ」というデザインばかり。お気持ちはありがたいのですが、タンスの場所ふさぎとなってます。「よーのすけはネックレスがしたいのではなくて、自分が好きなデザインのアクセサリーを好きなように着けたいのだ。」ということは、とうとう理解出来なかったようです。ついでに「ロングネックレスだけしてれば」云々というのは母の言でありまして、このあたり、「おしゃれなユニバーサルデザインの服」の括弧付きの「おしゃれ」と通じる感覚なのもしれません。

 で、よーのすけが「ネックレス自助具」に付けている条件は以下の4点。

 結構厳しい? でも、実践的脳性マヒ者としては、これくらいの条件は満たしてくれないと使い物になりません。

試作品第一号

 ものすごく長い前置きになってしまいましたが、誰も作ってくれないので、自分で試作品を作ってみました。最近、ビーズワークが流行になってくれたおかげで、いろいろなパーツが出てますし、アクセサリー作りのテクニックも調べればわかります。ネット通販のカタログを眺めながら、思いつきで作ってみました。

材料

試作品

 マグネット留め具というものが見つかったからこそ思いついた試作品です。マグネット留め具をカニカンでネックレス本来の留め具につなぐようにしただけのものです。

シルバーが好きなので、まずはシルバー(ロジュームメッキ)で作ってみました。写真ではわかりやすいように、ゴールドのネックレスにつないであります。画像をクリックすると大きい写真が見られます。戻るときはブラウザの「戻る」を使ってください。

鎖の両端にマグネット留め具とカニカン ただし、マグネット留め具は、引っ張ると外れかねないので、安心材料としてチェーンでつなぎました。チェーンの両端に丸カンをつなぎ、そこに、カニカン、マグネット留め具をつないでいます。

ネックレスにつないだ ネックレスにつなぐと右図のようになります。

 下図は、金具の部分のアップです。
カニカンで本体とつながっている

マグネット留め具のぶぶん 左図の丸いのがマグネット留め具。ネックレスをかぶって、このあたりを何となく近づけていくと勝手にくっつきます。

 実際に装着すると下図のようになります。マグネット留め具とカニカンという比較的大きな金具が付いているので、ペンダントヘッドが軽いと、右のように下がってきてしまうこと、どうしてもごつい感じになるのが難点です。後者の欠点は、シャツの襟から覗かせる分には隠せますが…。

ちゃんと付いている状態 時間が立つと下に下がる

 1週間ほど毎日着けて使ってみましたが、とにかく簡単です。本体と自助具をつなぐのがちょっと手間ですが、5日くらい使っていると、2分くらいで付くようになります。ただ、カニカンを机の上の安定したところでも開けないほどの手だと、ちょっと厳しそうですね。

 マグネット留め具が確実に止まってくれると、中の鎖はなくても済みます。鎖は、やはり目障りですし、髪を整えた後でかぶるのがちょっと難しくなります。よほどのことがなければ落ちないと思いますが、今週着けていた限りでは、一度落ちてました。自動車に乗ってシートベルトを締めたときに引っかけたみたいです。

 多少苦労しても、普通の留め具が使える方なら、装着の手間を考えるとかえって面倒だと思うので、がんばってそのまま着けることをお勧めしますが、どうがんばってみてもどうにもならない、という人がなんとかできるようにはなります。もちろん、改良の余地はありそうですが。

 普通の手の人なら、ラジオペンチが一本あれば細工できますので、お友達にでも頼めば作れると思います。


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車椅子で彷徨えば扉
Yoonosuke Hazuki[Mail_ocean@mbc.nifty.com]