ハンディキャップトイレはこう使う2

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ハンディキャップトイレの便座まわり

基本的な設備

最新鋭のいろいろなものが出回っていますが、最も基本的なものはこんな感じです。 便座まわりの設備

L字型手すり
固定されている手すりです
開閉式手すり
便座への乗り移りに介助が必要な場合、介助者が便器にアクセスできるように、空間側の手すりは取り払えるようにしなければなりません。
ペーパーホルダ
普通座り・前向き座り・介助者のいずれかからも手が届くところに付けます。
水洗ボタン
便座上からも、車椅子上からも手が届くようにします。赤外線式自動ボタンもありますが、後述するように、問題点もたくさんあります。
足踏み水洗ボタン
上肢が不自由な場合、この足踏み水洗ボタンが必要です。しかし、後述するように、設置場所に注意しないと、車椅子のタイヤが乗ってしまい、転倒の原因になります。
予備ペーパー
忘れられがちですが、便座から手が届くところに置きます。
非常ベル
便座から手が届くことも必要ですが、危険なのは、むしろ便座−車椅子移動時の転倒です。したがって、床に落ちたところで手が届くところに設置する必要があります。とはいっても、誰が助けに来るんだ?という問題(詰め所にいるのは普通男だしぃ)、外から開けられる鍵が設置されているのか?という大問題があります。

余談ですが

「禁煙」の張り紙
それでもタバコ吸う奴いるんだから。

そのほか

よーのすけ自身は使ったことがないので、詳細はわかりませんが

マルチシート
車椅子と便座の間の移動や、身繕いに使う人もいます。ビニールのシートです。おむつ交換台としても使えますので、おむつ交換台を付けるなら、こちらを付けて欲しいところです。ビニールの寝台が置いてある場合もありますが、これは配置に十分な配慮をしないと車椅子がつっかえることになります。跳ね上げ式が望ましいです。
パウチ洗い
便座の部分に、パウチなどを洗う設備があるものもあります。カテーテルなどで排泄をする人の場合に必要です。
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手すり

これなら、という手すりは、未だかつてない

よーのすけ、結構あちこちのトイレを使ってきましたが、「これなら」という手すりの付いたハンディキャップトイレには、出会ってません。よーのすけは、室内でなら歩くことができ、普通の広さの洋式トイレブースでは、壁を手掛かりにして用が足せる人です。しかし、それでも、どこへ掴まろうか、と、身体をひねったり、横向いてみたり、思案しないと立てないんですから、「いったい、どおゆう手すりの付け方、指導しとんねん!」と悪態もつきたくなるのも無理はないと思いませんか。
 掴まると流れる手すり、外れて落ちる手すり、固定されない手すり(ストッパー金具が逆さまに付いている)なんてのは、論外ですが、現実にあったものです。ほとんどのトイレは、そこまでひどくはないとしても、手すりが「ほんとに使えるかどうか」という話になると、「設置仕様書通りに付いているとは思うけど、いまいち、使えねえなあ」というのが正直なところです。

手すりの基本パターン

 手すりは弁座の両側に必要です。原則として壁側にL字型手すり、反対側に開閉式手すりを設置します。

L字型手すり

L字型手すりは、手前側に垂直部を持ってきます。ごくまれに、逆に付けてしまっているものもあります。
 一旦立ち上がる人は、この垂直部を使って、立ち座りをします。

開閉式手すり

一度立つ人やまたがる人の場合、「両方ともL字型手すりにしてくれ。」というのが正直なところですが、横側アクセスや、便座への乗り移りに介助が必要な場合、空間側の手すりはじゃまになります。空間側の手すりは取り払えるようにします。そして、当たり前ですが、こちらの手すり側は空間として空けておきます。開閉式手すりを付けながら、その横に洗面台を設置したりしないこと。
 開閉式手すりは、原則として、「開閉するのは手には障害がない人」ということで作られているようです。止め金具などの操作はきわめて固いものが多いです。そのため、上肢に障害がある車椅子ユーザー自身が操作するのは、困難です。決して空けっぱなしにしないでください。
 また、この手すりは、設置ミスも多く、逆さまに設置された、部品が足りないなどで、固定されていないことがままあります。(固定されてない手すりなんて、何に使うんだ。)

手すりはどこも短すぎ

 ハンディキャップトイレで想定されている「正規の」ユーザーは、車椅子に乗り移り、安定した座位を確保するまで、原則として手すりから手を離すことはありません。離せる人はいます。でも設置にあたっては、手を離さずに車椅子と便座の行き来ができるようにするのが当たり前です。
便座から手が届かないほど短い手すり

 しかし、実際には、ほとんどのハンディキャップトイレの手すりは短すぎです。特に近年、しゃれた作りのハンディキャップトイレでは、何を考えているのか、たった50cm程度しかない開閉式手すりが設置されています。
 通常、便座の奥行きは50cmあります。壁にくっつけて設置する場合は、この50cmタイプで、便座と同じ長さになります。しかし、実際には、壁から便座を直接「生えさせる」タイプのトイレはあまりありません。大抵壁から離して設置しますし、後ろに水洗タンクを背負ったタイプだと、さらに奥行きが長くなります。便器のタイプに合わせて選べばいいいのに、と素人的には思うんですが、そうしないのは、なんでぇ???

 前向きにまたがる場合、便座の奥まで身体を引き寄せるわけですから、奥に向かって十分な長さの手すりがいります。そして、戻る場合にも、同様に、車椅子の上まで身体を浮かせて持ってこなければならないので、便座と向き合わせた車椅子の座面上まで、手すりが伸びている必要があります。

手すりが短すぎて立てない 他方、一度立つ人の場合には、奥に向かう長さはあまり必要はありません。しかし、完全に立ってバランスをとるまで、やはり手すりに両手とも掴まっていたいものです。よく勘違いされますが、掴まって立つ、あるいは座る場合、後ろに手をついて立ち座りすることはできません。人体構造上、それでは、完全に立ち上がるまで手すりにすがり続けることはできないからです。むしろ手すりは前、そして上に向かって伸びていることが必要になります。手すりにぶら下がる感じで立ち座りするからです。

健常者のための目安

 適切な手すり、というのは、手すりを設置する「健常な」技術者さんたちには きわめてわかりにくいものらしいです。また、使用者の身体状況によって、様々に変化しますので、一律に決めることは難しいかもしれません。
 しかし、ハンディキャップトイレが汎用であることと、手すりは、手すりが必要な人のためにある、ということは混同されてはいけません。手すりが邪魔になる人の基準で、設置してはいけないと思います。
 手すりは、原則として、両方一緒に掴まります。力を入れる要の動作の時は時は特にそうです。つまり、便座と車椅子を移動する間は、つねに、両側に掴まれる、という位置に手すりを置かなければなりません。
 この原則にしたがって、さらに、便座と車椅子の間の距離、奥行きの長さなどが決まるはずです。便座と車椅子の間の距離、つまり、両手すり間の幅は、1.車椅子を間に入れることができ、2.便座上で身体を浮かせられる幅、を考えて下さい。広すぎるケースか多いと言われています。
 奥行き、つまり、手すりの長さは、奥に向かっては、上図にしたがって、またがった形で身体を浮かせて引き込める位置まで必要です。手前に向かっては、便座から直接車椅子に移動する人のためには、車椅子の座面上まで、立つ人のためには、両手で掴まって立てるだけの長さがいります。
 さて、手前側の適切な長さに関しては、最低限これだけは、というのを確かめるとても簡単な方法があります。
 便座に座って、両方の手すりをしっかりと握ります(この段階で手すりに手が届かん、なんてのは論外です)。そのまま、立ち上がります。ひざが完全に伸びるまで、手すりを離さずにいられますか。ここまでが、本当に最低限度です。もし、十分に膝が伸びきったら、開閉式手すりの方をしっかり握ったまま、L字型手すりの垂直の部分を握ります。これで「立てた」ということになります。
 ハンディキャップトイレを見かけたら、ぜひ試してみて下さい。ブリッジにならずに膝を伸ばせる手すりは、思いのほか少ないと思います。

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水洗ボタン

 水洗ボタンには手動式と赤外線式があります。
 手動式は、壁面に水洗ボタンを設置します。水洗タンクに付けては、車椅子からは手が届きません。便座の横ないし車椅子から手が届く場所に設置します。便座の横だけだと、車椅子に戻ってから流し忘れに気付いたときどうにもならなくなるので、これは避けたい。
 また、上肢が不自由でボタンを押せない人のための足踏みボタンも必要ですが、これは、後述のように設置場所に気を付けないと危険です。
 便座を離れると自動的に流れます。」という赤外線式自動水洗も増えてきました。よほど水を流し忘れる人が多いのか、最近は一般トイレでも多く設置されています。
 自動水洗は、上肢が不自由な人には嬉しいものです。しかし、便座上で身体を動かすと、勝手に水が流れる、という欠点があります。一般トイレの設置が増えて以降は、設置場所もそれなりに工夫され、身体を動かしたくらいでは流れなくなってきましたが、それでも突然水か流れてびっくり反応が起きることはよくあります。また、車椅子から直接乗り降りする人は、便座上で身繕いをするため、予想を超えた大きな動きをします。その間中水が流れっぱなしになり、飲み込めなくなってあふれる事故も起きます。作動の一停止ができる、などの工夫が欲しいところです。ちなみに、よーのすけは、トイレットペーパーをかぶせて、センサーを欺いて使ってます。

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車椅子で彷徨えば扉
Yoonosuke Hazuki[MailTo_ocean@mbc.nifty.com]