初めて車椅子で自走したときの記憶をたどりましょう。まっすぐに進めるようになるまで、結構大変だったはず。押すのも同じらしいです。
「車椅子研修」を受けたとしても、一般道を歩かされた人は稀です。せいぜい、病院や福祉会館の廊下止まり。同じ建物の別棟や、玄関の外に出るかどうかもあやしいものです。
とはいえ、後ろで押したことがない車椅子ユーザーとしては、どうしたらまっすぐに押せるか、という助言は難しいですね。せいぜいリムで調整してあげるしかないですね。
押してもらっている間でも、手はすぐにリムを握れるように、空けておく方がいいと思います。
なれない人がごわごわ押していたりすると、1cmもあれば車椅子がつまずくのにはもう充分です。道路状態をよく見て、段差を察知したら、一応声をかけるのと、しっかり車椅子にしがみつく用意をした方がよさそうです。あまりうるさく言うと、押してる方がめげるかもしれませんから。
押してもらっていると、どうしてもぼんやりしがちです。自分で歩いているという自覚がなくなり、ルート確保・危険回避がつい介助者任せになります。これ、完全に方向音痴の原因にもなります。主体性を持つためにも、回りを認知するよう、意識をしておく方がよいでしょう。
1−3cm程度の小さな段差でつまずくような押し手は、はまりこんでにっちもさっちもいかなくなります。そうなると、なぜか大抵、みなグリップをつかんで引き上げようとするんですよね。いくら力持ちさんでもそれは無理というもの。「押し下げて、前輪を上げてください」と言いましょう。でもそういう場合、大抵頭に血が上っていますから、こちらの言うことなど聞こえやしませんが。
「下に押して下さい。前輪が上がりますから。」 | 「シートの下に棒がありますね。椅子の下です。それ踏むと、前輪が上がりますから。」 |
気を付けたいのは、「段差は必ず後ろ向き」と覚えてしまっている人がいることです。正しくは、「常に上りを前に向ける」なんですが。ヘルパー講習会などで、後ろ向きに急坂を降ろす実習が、よほど印象に残っているんでしょうか。お年寄りの車椅子介助シーンなどで、歩道に上げるのに、お年寄りが落ちそうになっているのも構わず、後輪を必至に持ち上げているヘルパーさんを見かけることがあります。
「こういう段差って、後ろ向きで上がるんですよね」って確認されることもよくあるし。
「経験者」や「ヘルパー○級」で、「自信満々」でも、油断は禁物。
「こりゃ、なんてことするんだい。」
グリップの位置にもよりますが、車椅子を押す人から見て、車椅子の一番先頭、つまり「つま先」は死角になります。そして、固いフットレストが、ちょうど前を歩く人のアキレス腱の高さになります。ぶつかると、車椅子ユーザーにとっては大した被害ではないですが、当てられた人にとっては、たいへん痛いです。人混みでは、ハンドリムから手を離さない方がいいかもしれません。
もっとも原始的かつ素朴な方法。車椅子ユーザーとしてはできるだけ避けたい移動手法ですね。とはいえ、狭い家屋の階段などでは、普通の椅子で応用すると、おんぶが出来ない体質の人も通れたりしますよ。
ピンクの丸印のフレームを支えてもらってください。1.フットレストとタイヤの間のパイプ 2.グリップの左右合わせて4カ所です。タイヤは絶対触らせないように。
1.フットレストとタイヤの間のパイプは、安全ですが、問題は 2.グリップです。背もたれが2つに折れるタイプの場合、危険です。メーカー的には「やってはいけない」とされております。その場合は、テッピング・バー(水色の丸印)を支えてもらいます。この場合、後ろが上がってしまうので、前のめりにならないように気をつけてもらってください。
最低二人いればおみこしは可能とされていますが、現実に困難です。
後ろを支える方が負担は大きいので、それを考慮して人員を配分して下さい。
大変です。が、自力でエスカレータに乗る、という人もいますから世の中は広い。
上りの方がまだやりやすいようです。グリップにブレーキ付きの車椅子が、望ましい。
前輪を上げて後輪をベルトに乗せてもらいます。段差にがっちり後輪を押しつけて固定します、前の階段が立ち上がってきたら、そこに前輪を降ろします。
乗り手の上体がそこそこでしたら、利き手側の壁寄りに車椅子を乗せてもらい、ベルトに掴まって車椅子を支えるといいでしょう。押し手に掛かる重量が、多少ですが軽減されます。
「エレベータなら誰でも乗れる。」それはそうですけど。
車椅子の構造上、バックで入れてもらいましょう。グリップと壁の間に押し手が入り、他の人がたくさん乗れます。バッグがちょうど鼻の頭に当たるのはまあ仕方がないとあきらめてね。