はじめての車椅子介助・介助者取り扱いマニュアル2

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車椅子のセッティング

車椅子を持ち上げる

「ちょっと手伝って下さい。」と頼むケースのうち、段差にはまったのを引き上げるのに続いて多いのが、おそらく、「車椅子を運んで下さい」じゃないでしょか。車椅子から、自動車(タクシーなど)・椅子などに乗り移ったとき、車椅子をどこかに片づけてもらうように頼むことはよくあります。
 でも、五体満足・健常な人にとっても車椅子というのは、存外大きくて重いもの。一発で軽々持ち上げられる、という人は意外に少ないようです。ハンドル握って持ち上げようと四苦八苦する人、勢い余って車椅子抱えたまま転ぶ人もいて、本人が持ち上げる以上に危険なこともあります。
 畳んだ車椅子を運ぶ場合、自分が乗っているわけではないので、我が身に危険が降りかかることは稀ですが、手伝いを申し出てくれた人に、どこをどう持つと、車椅子を運びやすいか、を、口頭で説明できるようにしておきたいものです。
 車椅子からトランスした後で、「そこ持ったって持ち上がらないよ。そこ持つの、そこ」と、怒鳴るのって、結構悲しいものがありますので。

大事なのは重心を知ること

車椅子は、重心さえ知っていれば、わりに簡単に持ち上がります。ご自分で車椅子を上げる方は誰でも知っていますね。アクティブタイプの車椅子は、せいぜい10kgちょっとですから、健常者なら、片手でも持ち上がるはずです。 車椅子の重心は赤の矢印のあたりにあります。


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「タイヤの上のフレームと、車椅子を押すハンドルを持つといいです。」
重心のあたりを、車椅子が開かないように、肘おきを2本とその内側にあるシート枠のパイプを2本、合わせてしっかりと握ります。男性だと、これだけで持ち上がります。念のため、ハンドル部分に手を添えてバランスをとります。
以上は、かつてよーのすけが車椅子講習会で習った持ち上げ方。

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でも、実際にはこういう持ち方ができるのは、体の大きい人みたい。
手が小さい人の場合、肘おきとシートをいっぺんには握りきらないですし、ハンドルを持ってしまうと前輪を引きずります。
 そういう人の場合、重心付近のフレームを、一組ずつ左右に持つようにいいましょう。これだと背が低くても、高い位置まで持ち上げられます。
それでもうまくいかない、という場合、重心を中心として、上図青の矢印の範囲を2カ所、持ってもらうといいです。
「肘のところと膝のあたりを持つといいですよ。」
これで通じるかな。
ちなみに、背が低くて手が小さくて力がないよーのすけは、の部分を持ちます。あちらとこちらのフレームを一組ずつ互い違いに持ちます。

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絶対無理。→
だと思うんだけど、いるんだ、これ企てるひとが。

持ち上がらない持ち方いろいろ

一番多くて、一番「おいおい」と思うのが、何が何でもハンドルを持って、運ぼうとする人。前輪が上がらないとなると、とりあえず後輪だけでも上げてみる人もいます。
また、タイヤの部分だけをつかんで上げようとするケース。整備が悪くてブレーキがゆるんでしまっている場合、車椅子自身の重さでくるくる回り、困っていたりします。

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車椅子を開く

降ろしたばかりで広げていない状態

 こういう状態の車椅子。これを、指示なしで広げられる人は、うーん、5人に1人かな。看護婦さんでもときどき広げられない人いますよ。

初めての人の行動パターン。

  1. シート下をのぞき込み、レバーか何かがないかどうかを一生懸命手探りして探す。
  2. 背もたれ倒しボタンがある車椅子の場合。それを引っ張って、背もたれを倒して驚く。(なぜか、背もたれを畳まなければならないときには、ボタンに気付かない)
  3. 広がらない状態のまま、クッションを乗っけて、「さあどうぞ」という。(またクッションを外して広げ直さないといけなくなるので、車などに乗せてもらうときは、クッションは自分で手持ちにして乗ろう。)
  4. 逆さまに立てようとして四苦八苦する人もいる。そうか、こんな人もいるんだなあ、と、感心した。

開いてもらうとき、手を挟まぬように注意するのを忘れないで

手のひらで座面のフレームを押す
OK
指を外に向けてはいけない
ダメ
シートのフレームとシート受けフレームで指を挟んでしまいます。

「接舷」する

 思いのほか多い謎の行動です。歩けないヒトがどうトランスするのか、知らない人にとってはドキドキものらしい。慣れないせいもあって、動転してる人が多いようです。
パニックは伝染します。こちらまで動転して、転ばないように。

以下、初心者が取るかもしれない行動パターン。

  1. 開いた後、ハンドルの方を車椅子ユーザーに向けて置いてくれる。
    反対ですね。これをやられると、さすがに頭の中身を確認したい気分に駆られますが、そこは慌ててる、ということで。自分が手にしているものを手渡すのは、日常的には普通の行動ですから。
  2. 車椅子を復元しなきゃ、の一心で、車椅子を開くとき、フットレスト(足置き)まで開いてしまう。
    フットレストが邪魔で乗り移れないぞ。
  3. フットレストだけならまだしも、ブレーキまで外してしまう。アンタそれで乗ってみィ(怒)

車椅子を畳む

 広げられたからといって畳めるとは限りません。「シートの真ん中を持って引き上げて」もらいましょう。

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車椅子で彷徨えば扉
Yoonosuke Hazuki[MailTo_ocean@mbc.nifty.com]