サンダーバードとおみこしで行く伊豆湯けむりと河津桜の旅 4

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河津さくら祭り

 翌日は朝から暖かく晴れ、避寒地・伊豆らしい春のお日和となりました。宿の人には伊豆高原駅を勧められましたが、河津へ行くのに戻るのはアホらしいと、再び熱川にてサンダーバード出動です。下りとは逆、階段の後ろにキャタピラを当て、タイミングを合わせて一段一段上がって行きます。

 予定としては、「午前中に桜祭りを見て、お弁当を買い、電車の中で食べながら帰る」です。妹くん曰く、「スーパービュー踊り子号と普通の踊り子号は、プロペラ機とジャンボジェットほど違うんだよ。でも大船に止まらないんだよねえ。」ついでに横浜で買い物しようか、ということになり、スーパービュー踊り子号で横浜へ出ることにしました。

 河津駅は、見事に「何もない駅」です。ウチの最寄り駅(2007年4月にバリアフリー化)と同じく、エレベータはおろかエスカレータも、エスカルも、階段昇降機もない。しかし、さくら祭りを見に来る客は多いらしく、車いすを扱う手つきはなかなかのもの。もう1人高齢の車いすユーザーさんがいたようですが、すんなりおみこしで降ろされました。帰りの切符を買ってくるね、と言う妹くん。しかし、駅はお客でごった返してました。券売機の前にずらりと並ぶ人々。こんなにたくさん人が来るイベントなんだ、すごいなあ、と思いつつ待っていると、やがて妹くんが姿を現しました。おみこしをしてくれた駅員さんが手招きして切符を売ってくれたとのこと。帰りの電車の確認もしたかったんでしょうね。

 河津桜は満開の一歩手前くらい。いい時期です。どこまでも続く遊歩道は、人と屋台で一杯です。坂もなく、ゆるゆると歩くことができますし、仮設トイレにも汎用トイレが併設されてました(何も下調べしないできた2人)。人の流れに沿って、焼きイカだの、ホタテだの、桜まんじゅうに、桜ソフト、買い食いしいしい歩いていましたが、どこまでも続く桜祭り。2時間ほど歩いて、さて、これはどこまで続いているんだろ、と看板を見れば、あと2キロほどあるらしい(ほんとに何も下調べしないできた2人)。これは終点まで行っちゃダメだわ、と引き返しました。お弁当を買うつもりが、どこもすでに売り切れ。本当に盛況なんですね。駅前で、やっとお弁当をゲットしました。

 河津桜の濃いピンク色と菜の花の黄色と、きらきら光る川面につつまれた春の一日。

真っ青な空に濃い桜色の花を付けた大木 きらきら光る川面をバックに黄色い菜の花

スーパービュー踊り子号

 「普通の踊り子号」に比べたら、全然違うスーパービュー踊り子号。快適に横浜に連れて行ってくれるはずでした。おなじみの渡り板を持った駅員さんに連れられて、待つこと数分、入ってきたスーパービュー踊り子号です。…が、あれ? これって…。よーのすけ、乗れるの? 渡り板を抱えて、駅員さんも途方に暮れて、客室乗務員のお嬢さんのきれいな顔を眺めてます。そう。指定されたのは2階建て車両の2階。渡り板があったって届かない。確かに「スーパービュー」だからね。車両位置が高いのは、そりゃそうなんだが…。

 これ、乗りますか?と言いたげな駅員さん。それは乗りますよ。乗らなきゃ帰れませんもの。階段の幅は、本当によーのすけの車いすいっぱいいっぱいです。前と後ろを支えてどうにかこうにか押し込んでもらえましたが、これ、横浜駅では反対に降りるんだよねえ…。

 妹くん曰く、「あの駅員さん、よーさんの切符だってわかってて、この席を売ったわけだよねえ。何も言わないで取ってくれたんだけどさ。問題なく乗れるって思った、ってことだよねえ。不思議だわあ。」

 横浜ではホームで待っていた大きな駅員さんと、ほっそりしたきれいな乗務員のお嬢さんの手で降ろされましたが、やっぱしドキドキもんでしたね。

 妹くんが、希望通りのんびり骨休めできたかどうかはともかく、楽しい春の小旅行でした。


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車椅子で彷徨えば扉
Yoonosuke Hazuki[Mail_ocean@mbc.nifty.com]
Photos by 妹くん