ヘイ、タクシー!   1

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タクシーには乗りたくない

 タクシーというのは、その構造からして、車いすユーザーが乗りにくいものとなっています。セダン型の後部座席というのは、実に乗りにくいものです。振り袖着て乗った経験でもあれば、よくわかるでしょう。
 ドアに貼ってある「車いすマーク」。あれはあくまでも「管理責任者が講習を受けました」という印であり、車いすで乗り込めます、という意味では全然ありません。

 小型タクシーだと、車いす畳んでもトランクには入りませんし、電動車いすだったりしたら完全にアウト。大体、車いすユーザーというのはそもそも立ち上がれないものですから、車いすから座席に乗り移るという行為は、容易なことじゃありません。

 とはいうものの、バスには乗れないし、手こぎで行くには坂があったり、遠すぎたり、というときには、やむを得ずタクシーを使わざるをえません。

 普通の健常者、また、付き添い経験のある人でさえ、車椅子ユーザーの移動にはタクシーほど楽なものはない、と、思うようです。ドア・ツー・ドアで、車に乗ってしまえば安心、と考えられてしまいます。しかし、実際に、車椅子ユーザーが単独でタクシーを使うというのは、思いのほか困難がおおいものです。よーのすけ自身は経験がないのですが、乗車拒否をされた、という話も結構聞きます。よーのすけ、そのあたり鈍いので、乗車拒否されたことに気付いていないだけかもしれませんがね。
 ここでは、車椅子ユーザーがタクシーを使用する際にぶつかると思われる「困難」及び、それを何とか「誤魔化す」手法を紹介します。

タクシーを拾う

タクシー乗り場の危険性

 まず、駅前のタクシープール。車いすユーザーにとって、普通のタクシープールから自動車に乗り込むというのは、非常に危険です。普通、タクシー乗り場は道路よりも10〜20cm程度高くなっています。タクシーさんが、ピッタリとくっつけて停めてくれるのであればまだしも、たいがい30cmくらい、離して停めてありましょ? 歩けない車いすユーザーにとって、この段差を降りられるかどうか、というのは大問題なんでございます。

 タクシー乗り場の地面が傾いていたり、カマボコ道路だったり、タクシー乗り場はなぜか足場が悪いところが多いです。

乗車拒否対策

 今のところ、よーのすけは経験がありませんが、乗車拒否を経験した車いすユーザーは多いようです。
 少なくとも、交通バリアフリー法施行以降は、障害者や高齢者等の移動を妨げてはならないことになっており、また、国民は常に手伝わなければ行けない、という努力目標も盛り込まれておりますので、「ひとりでタクシーに乗ってはいけない」ということはありませんし、ましてや「乗車拒否」してはいけません。

 とはいえ、車いすを畳んだり降ろしたり、車いすユーザー本人を抱えたり、「面倒っちい」客なんでしょうかね。

「ひと晩じゅう 町の中 走りまわっておくれよ
ばかやろうと あいつをけなす声が途切れて
眠ったら そこいらに捨てていっていいよ」

 と、クダ巻いているのは、中島みゆきの「タクシードライバー」という曲の中に出てくる酔客です。苦労人らしいタクシードライバーは、道の真ん中で泣いていた、こんな酔っぱらい客を拾い、さりげなく心遣いをしつつ夜の都会を走ります。
 こんな酔客に比べたら、車椅子ユーザーのお客の迷惑なんて可愛いもんじゃないか、と、思うのですが。

 なんて、ぶつぶつ言っていても仕方がないので、実戦的な対策をいくつか紹介します。当サイトのけいじばんで教えていただいたものを元にしています。

健常者の威を借る障害者作戦

タクシー乗り場に並ぶとき、なるべく親切そうで世慣れた感じの人(同性の方がよりいいでしょう)の前に並ぶようタイミングを合わせます。こんにちは、と挨拶をして、おしゃべりなど始めます。思い切って、「乗り込むとき、ちょっと手を貸していただけませんか」と頼んでもいいでしょう。そうすると「連れ」だと勘違いされますので、まず、乗車拒否されることはありません。「それじゃ、よろしくお願いしますね。では気を付けて。」と言われて、「えっ、付き添いじゃないの?」と気が付いても、乗ってしまえばこちらのもの
もっとも、タクシープールが空で、待っている人もいず、地域のタクシードライバーが皆「絶対に乗せたらんぞ」と決意しているとなると、どうにもならないかもしれませんが。

 駅から乗る場合ですと、駅員さんに、「あのお、タクシー乗り場って、どこなんでしょう。」と不安げに聞いてみて下さい。うまくいけば、タクシー乗り場まで連れていってくれた上、タクシー拾って乗っけてくれたりします。

とかく、相手が「健常者」であれば余り失礼なことはしませんので、「親切な健常者」の陰に隠れて、うまいことやる、という手です

 もっとすごいのが、公権力の威を借る障害者作戦。近くに交番があったら、そこのお巡りさんにタクシーを拾ってもらうんだそうです。駅前というのは、交番があることが多いですから、これは使える手かもしれません。

タクシープールにタクシーを呼んじゃう

タクシー乗り場にタクシーを呼ぶ、というのも手です。
この場合、運転手さんが名指しで呼んでくれますから、並んでいる他の人をしり目に、堂々と乗り込めます。
但し、この場合は呼んだ時の追加料金を取られます。

駅から拾う場合には、みどりの窓口など、お客様サービスをやっているところに聞いたり、駅出口付近の公衆電話に貼ってあるタクシー会社の広告などで電話番号を見て、福祉車両用タクシーを回してもらう、という手もあります。これは、いわゆる「福祉タクシー」とは別のものです。最近、タクシー会社は福祉車両(ワゴンタクシー)の1台くらいは導入していますから(介護保険が利くので業者的においしいらしい)、タクシープールにいないので、と言えば、回してくれると思います。これも、多分予約料金を取られる上、リフトを動かすと介護料500円程度(介護保険対象者なら保険でまかなえる)を取られます。動かさなければ通常料金です。

流しのタクシーは拾えるか

道ばたで拾う。これは、ちょっと難しいです。でも、結論的に言えば、空タクシーが走っていれば、車いすユーザーが手を挙げても、ちゃんと止まってくれる車もいます。要は、タクシーの運転手さんに見えるかどうかです。さすがはプロ。ちゃんと道の端々まで目を配って運転してます。

 1〜2分のロスで捕まるところであれば、これも、通りがかりの人に拾ってもらうといいんですが、あまり時間がかかるようですと、頼みにくいです。

 この場合、タクシーが停まるかどうかより、タクシーに乗り込みやすい場所を探す方が重要です。タクシーに乗り込みやすい場所であれば、タクシーの運転手さんにも見つけてもらいやすく、拾える確率も上がります。

[2]へ続く
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車椅子で彷徨えば扉
Yonosuke Hazuki[Mail__ocean@mbc.nifty.com]