彷徨日記

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2005年分

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09/XX(火)東京駅初(?)構内エレベータ

 相変わらず東京駅は定期的に使っています。けれども移動は相変わらず駅員さん任せ。だったもんですから気が付かなかったんですね。最深部横須賀線からいかにして地上に出るか。

 台風の余波を感じる、予報は午後から激しい雷雨。いささかひるみつつ、ええい、ままよ、と出かけてしまうのはいつものことです。降ってはいなけれども何となく全体に霧っぽい日でした。

 こんな日は、車椅子ユーザーを濡らすとまずい、というお約束になっているのか、バックスペースからVIP用エレベータを使って向かいの公園に出るコースではなく、丸の内北口のタクシー乗り場横エレベータから丸の内南口に回るコースをたどります。この日もそんな感じだったので、成田エクスプレス用のエレベータで地下1階まで上がっても、不思議には思いませんでした。

 改札を照るかと思いきや、そのまま新しくできたスロープを上がります。かつて地上に出る階段とエスカレータだけがあって、「このまま上がれたら山手線はすぐなのに」とよく思った場所です。そのスロープを上がっていくと、なんと、いつもたどり着けない「銀の鈴」に行き当たりました。銀の鈴のすぐ脇にシースルーエレベータができており、それを上がると新幹線の真ん前に出ます。新幹線と成田エクスプレスをどこまでも優先するJR。

 このエレベータ、東京駅の構内初のエレベータです。ホームとコンコースをつなぐエレベータは去年ほぼ全線できたみたいだけれど(中央線だけがまだバックスペース利用)、コンコース間をつなぐエレベータというのが今まで1基もなくて、いちいち改札の外に出る、というきわめていかがわしい行為を強いられていたんですな。やっとこれで切符なしに駅を出入りする、という怪しい行動をしなくて済みます。

 それにしても、あんなに広い東京駅なのに、エレベータは1基だけ。全ての電車が上ってくる駅だというのに。

01/XX(土)バリア・フル・トーキョー・ステーションあー、腹が立つ

 確かに以前から東京駅というのはスットコドッコイだとは思ってましたよ。だけども、今回はつくづく…。

 最終目的地は、本郷三丁目駅徒歩10分の場所に3時着でした。探しているものがあり、ちょうど、丸の内北口に新しくできたOAZO(オアゾ)内に専門店があったので、覗いてみて、ついでにお昼をそこでとることにしたのです。むろん、本郷の方が学生街ですから、安いだろうとは思ったのですが、車いすではアクセスしにくいだろうと思ったのです。ネットで調べたところ、地下1階で直接つながっているとのこと、これは使いやすそうです。

 横須賀線ですのでホームは丸の内側の地下5階です。今日は駅員さんと一発で巡り会えました。どこへ行きますか、と聞かれたので、オアゾへ、と答えました。できれば地下でつながるところで止めて欲しかったんですが、こちらも場所がわからないので、オアゾへ、と答えるしか仕方がありません。嫌な予感がしたものの、案の定、バックヤードのエレベータ経由で丸の内口向かいの公園に出されます。オアゾはすぐそこですから、と言いますが、こっちにとっては結構な距離なのよ。横須賀線のエレベータ位置から見て、どうも遠回りされたような気がします。

 タクシー乗り場を横切り、エレベータ前を通って横断歩道を渡るとオアゾです。北口エレベータ前は、無意味に(?)盛り上がっていて車いす慣れしてない人には難所です。何しろ車いすをOXに乗り換えたばかりでしたので、上り坂での目安がうまくつかなくて、ドキドキものでした。

 オアゾ1階玄関から入ります。案内板を見てエレベータを探して地下へ。目当ての店を一巡りした後で、食事をとることにしました。時間がかなり押していたので、ラーメンとかカレーとか、熱くて食べるのに時間がかかるものはパス。喫茶店でサンドイッチでも、と思ったのですが。

 なんと驚け、車いすで入れるお店がない! 10軒ほどフード店があったのですが、ほとんどの店が全席ハイチェア&ハイテーブル。テイクアウトのみの店を除き、車いすでアクセスでき、かつ庶民のランチの予算で許されそうな店は1軒しかありません。そのたった1軒の店というのが、ワンタン専門店という、熱いものしか食わせない店で…。ある店なんか、「入れますか」と聞くと「入れますよ」との答え、ハイテーブルだけなのに何かするのか、と思って待っていると、「膝の上に置いて召し上がってください」と言うんですぜ。これまた汁物ばかりの店でしたけど。テーブル使わずに食べろと言うのなら、店のテーブル全部撤去して、みんな膝の上で食べさせるべきですよね。それなら、まあこっちも納得せんでもない。愛想よくして断らなけりゃ差別じゃない、ってもんじゃないんだよ、キミ。本来なら、厳重抗議するべきところですが、何しろ時間に間に合わなさそうな状況でしたので、とりあえずむっとした顔して外に出て、他の店探しに駆け出しました。時間に追われる丸の内ビジネスマン・OLのためのおしゃれな「止まり木」なんでしょうが、東京駅で時間に追われて走っているのは車いすユーザーだって同じこと。ぱっと入ってぱっと食べてぱっと出たい。仕方なく、低いテーブルといすを持っていたワンタン屋に飛び込み、じりじりしながらワンタンが出てくるのを待ち、慌てて食べ都飛び出しました。言語障害があるCPにとって、熱いもん食べるというのは、命がけに近いんだからね、もう。

 予定より20分ほど遅れて店を飛び出しました。丸ノ内線はこちら、と言う看板を頼りに歩いていくと、えっ、何で地上に出るエレベータ!? 地下鉄って地下にあるんじゃないの? オアゾ1階玄関より東京駅からだいぶ離れた地上に出てしまいました。とにかく東京駅の地下に行かないといけないのはわかっていたので、丸の内口のエレベータを使って地下へ、そして丸ノ内線の改札へ向かいます。丸ノ内線改札は自動改札も車いすに対応しており、ホームにつながるエレベータがあります。

 行き先のトイレに階段がある、という情報を得ていたので、本郷3丁目駅でお手洗いを使い、出てきたところで、知り合いに遭遇、目的地まで押していって頂けました。帰りも同様に押してもらってしまったので、新車いすの「テスト走行」という目的は果たせませんでしたが、楽はできました。

 東京駅に丸ノ内線で戻り、オアゾにつながる地下道を探索することにしました。方向から見て、横須賀線方向にあるのは間違いなさそうです。JR沿いに丸の内口エレベータ方向に向かっていくと、ありました。「動輪の広場」の奥に、オアゾにつながるスロープが。オアゾから来るときに、「JR東京駅」という矢印に向かわなければいけなかったようです。丸ノ内線東京駅ではダメだったんですな。初めての人じゃわからないよ。

 というわけで、車いすユーザーのみなさんは、オアゾに行きたいときには、「動輪の広場へ出してください」と言わないと遠回りさせられることになるようです。同様に、大丸へ出たいときはね「銀の鈴へ」とかなんとか言えばいいのかな。

 それにしても、2004年にできたばかりのショッピングセンターが、車いすでランチ食べられないような作りになってるとは思わなかったです。ハートビルの中身が完全に空っぽです。久々に腹が立った外出でした。

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車椅子で彷徨えば扉
Yoonosuke Hazuki[MailTo_ocean@mbc.nifty.com]