心のバリアフリー・ボツネタ集

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 「あなたのとなりに」。改めて読んでみたら、やはり「いい子」な障害者ですな。一応、

AT機器って、「障害者」をアシストするもんじゃなくて、本当は健常者をアシストしてるだけなんだぞ、要するにバリアフリーはこっちサイドの問題じゃなくて、そっちサイドの問題だ、

ということを暗に言おうとしてはいますけれども。まあ、常識的な文章ではあります。

 けれど、実際にいつもバリアの前で、歯がみし、地団駄を踏む人々からしたら、こんなエッセイはちゃんちゃらおかしいかもしれない。手を差し伸べてくれるのを待っているのでは追っつかず、足首掴んで放さずにいたら、向こうは引きずり落とされたくないから、こっちを引き上げてくれるた、というあたりが実感かもしれません。そういう人たちにとっては、こっちのボツネタの方が共感できるかしら。

 以下は、「書けない・オチが付かない。」というストレスから、八つ当たり的にぶちぶちぶちぶちぼやいていたものです。なにしろ八つ当たりなのでむちゃくちゃ言うてます。

ボツネタその1:障害者にとっての「バリアフリー」

 「バリアフリー」をテーマに一文を、と言われて、気軽に引き受けたはいいものの、はた、と筆が止まってしまいました。「バリアフリー」って、何なんでしょう。ちまたではこの言葉が氾濫しており、どうやら「車いす」を使う「障害者」に最も縁が深いとイメージされるもののようですが、まさにその「車いすを使う障害者」そのものである私が、「おお、これこそバリアフリー!!」と、感涙にむせぶことってないんです。

 「バリアフリー」で一般にイメージされるものの代表が、車いすマークの付いたハンディキャップトイレ、最近は汎用トイレなんて呼ばれたりしてますが、車いすごと入れるトイレでしょう。でも、あれなんぞ私からすれば、
「デパートでトイレに行って、「おしっこ出来た!」と喜ぶ奴がどこにいますか。
 トイレっておしっこするところですよね。おしっこできるトイレを作ったくらいで、"バリアフリー"なんぞと何をエラそうに…。」
というのが正直なところです。皆さんは「バリアフリーじゃないですか! よかったですね、すばらしいですね。」とすぐにおっしゃいますが、皆さんにとってトイレでおしっこできることは、そんなにすばらしいことで、法的に規制しないと出来ないことなんですか。あ、もしかしたら屎尿処理は規制しないとちゃんとしないかもしれませんね。

 私はバリアを感じることはありますが、バリアフリーを感じることは滅多にありません。例えば、「トイレ」という表示のところに行って、ドアを開けてみたら便座がなかったとしたらどうでしょう。普通は、「なによ、ここの建物は。」と怒りませんか。そして別の建物に行って便座に座って、ああ、バリアフリーだ、なんて思わないでしょう。同じことです。…云々。

 ボツですわなあ。これじゃあ。

ボツネタその2:AT機器で支援されるのは、障害者じゃなくて健常者

 AT機器というのは、「障害者」をアシストするものではなくて、本当は健常者をアシストしてるだけなんです。、バリアフリーとは、障害者サイドの問題じゃなくて、健常者サイドの問題なんです。

 ***の********なんてその最たるものです。言語障害なんて、たかだか発声に問題があるだけです。ですから、聞き取る側が、相手の動作で言いたいことを的確に掴んでくれればすむ話なんですね。

 「算数が出来るイヌ」は、主人や見物人の動作を見て正しい数字を選び出す、という話です。諸君もせめてイヌ並みに頭を働かせてくれれば、私たちはあんな使いにくいものを使わずとも、少なくとも日常生活は用が足りるはずなんです。…云々

 依頼者の製品になんてことを…。しかも健常者をイヌ扱い…。 これもボツですねぇ。

ボツネタその3:車いすテクが向上しても…

 車イスを使い始めて、10年にしてようやく前輪上げが出来るようになった。 それで、ようやく3センチの段差が上がれるようになった。1歳児が楽々こなすことを出来るまでにAT機器たる車イスを使いこなせるようになるのに苦節10年である。

 しかし、それだけでは電車にも乗ることが 出来ない。何しろ介助者なしに電車に乗ることは「鉄道旅客法違反」だったの だから。小学生でも電車通学できるご時勢に、誰にも文句を言われずに、電車に 乗れるようになるまでには、さらに数年が必要だった。…云々。

 これもボツでしょうねえ。「かっこいい車いすテク・車いすのおかげで自由にどこでも行ける」というのも与えられたテーマの一つだったのよ。


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車椅子で彷徨えば扉

Yoonosuke Hazuki[Mail_ocean@mbc.nifty.com]