さて、想像してみてください。あなたは車椅子に座っています。車は駐車場においてあります、まず、運転席に近づけますか。運転席に体が向くように車椅子を近づけられるスペースを確保しておきます。ドアを開けて...さて、どうしましょう。
車を運転しようという人が、はたと突き当たるのがこの問題です。福祉車両と称するものは近年各自動車メーカーが開発しはじめてますが、自動車の構造そのものにかかわるこの問題についてアイデアを持っているところはないと言っていいでしょう(例外的にM社がそういうオプションを付けているようですが、よーのすけは実物を知らない)。そこで、こちらが工夫することになります。
以下は、よーのすけの場合。
車の運転をして、一人で外出するためには、車いすのほうもパワーアップせにゃなりません。
免許取り立てのころ、よーのすけが使っていた車椅子というのが重かった。量ってみたところ26kg。小学校高学年まで、よーのすけを片手で軽々と抱いて歩いていた母が、かけ声をかけないとハッチバックの中に入れられないくらい。とうていよーのすけの手に負えるものじゃない。
とにかく軽量化を、ということで、当時「車椅子の権威」とされていた横浜市立リハビリセンターのT氏の処方を受けました。極力無駄を省いた、10kgを切る軽さの車椅子です。出来上がり9.6kg。重量規定からするとえらく高いチタンの車椅子でしたので、補助の都合だの業者指定だの何だのごちょごちょありましたが、超過分は自己負担、という妥当な線で落ち着きました(くるまいすのつくりかたも参照)。
軽くはなったといっても大きいし、車椅子ってものは、非力なよーのすけでは、そうおいそれと持ち上がるものではないです。どうやって積もうかな、と考えていた矢先、たまたま見かけたシーンでは、シートを倒して、頭越しに車椅子を後部座席に放り込んでいる。す、すごい(驚愕) いろいろ考えた結果、立った状態で、運転席と後部シートの間に入れるのが一番現実的だ、という結論に達しました、車体に上げるためのスロープ状のガイドがあったらなおいいなあ、と。
そうなると、車の条件は、
89年当時、この条件を満たすと思われたのは、フォードのフェスティバでした。
車椅子を車に自力で積めるようになるまで、最初は、10分近く格闘してました。次第にコツがつかめ早くなりますが、よーのすけの場合、いったん立たなければならないので、足場のよい駐車場であることも大事な条件になります。
この車も、10年乗ると、時々エンジンがかからなくなるようになり、買い換えましたが、このときも車椅子の積み込みには泣かされました。乗り降りの快適さのために、2ドアタイプが減ってしまったのです。あったらあったで、座席間が狭く、車椅子が入りません。ほとんど全てのメーカーを回りました。結局、福祉車両もあるT社のRという車にしましたが、これは、後部ドアがスライドになっていて、後部フロアのスペースを全開にできます。この車、福祉車両バージョンには、助手席側の後部ドアの縁に、車椅子を出し入れするときに傷つけないためのカバーが付くのですが、それを運転席側に付けてもらいました。このおかげで、傷もさることながら、引っかかるドアの縁もスムーズに乗り越えられるようになりました。またスライドドアなので比較的狭いところでも車椅子を出すことが可能です。
でも、やっぱり、ときどきコケたりして。