手だけで運転する車

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 一般の人々は、あまりお目にかかることはないと思われる「手だけで運転する車」。どういう仕組みだか、知ってます?
 いわゆる「障害者仕様」への改造はいくつかのパターンがあります。基本的に、「肢」が2本、うち1本の上肢が、ある程度コントロールできれば、おおむねパターン通りの改造でいけるようです。
それ以外の、結構とんでもない身体状況でも、改造してから陸運局の許可を受け、その車で教習・免許取得している人もいます。現在、かなりきめ細かい改造が出来るようなので、障害のある人は相談してみてはいかがでしょう。

 ここでは、改造としては比較的大きく、かつ数の多い「ハンドコントロール車」を紹介します。
 この車、出来れば一般の人にも、一度くらいは体験して欲しいものです。少なくとも、どうやって運転しているか、くらいはわかっておいて欲しい。何せ、手2本・足1本で運転しているものを、1本減らした状態でむりやり運転しているんですからね。ひとつ、どんなものだか、イメージしてみて下さいな。

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ハンドコントロール車への改造

 ごく普通のオートマチック車を改造します。基本的には、1 アクセルブレーキ 2 ハンドルノブのみを取り付けます。
手足全てを使って運転する人にとっては、ごく普通のオートマチック車として運転できます(参照)。その限りで、「特別車」ではなくて「普通車」として、陸運局の許可無しで改造できます(8ナンバーにならない)。
 大きく分けて、フロアタイプ(T字タイプ)とバータイプがあります。  フロアタイプは、比較的新しく開発したもので、少しの力で操作できます。運転できる人の幅が広がる上、上半身がしっかりしている場合でも、負担が少なく楽だといわれています。ただし、車両の床から立ち上げるので、車体に傷が付き、転売が難しくなります。
 比較的古いのがバータイプです。アクセル・ブレーキの部分に装置をネジ止めするだけなので、取り外しが可能で、普通の中古車として売り飛ばすことが出来ます。その代わり、健常者が足で踏む力を、少しは軽減されているとはいえ、もろに腕で代替することになるので、かなりしんどいです。かつて、アメリカ・ヨーロッパではこっちが主流といわれてましたが、今はどうかな。

 よーのすけ、教習車がすごい旧式のバータイプでして。教習の終わりには、腕がつりかけてたこともありました。高速教習義務化寸前だったから助かったけど、あの教習車で、高速30分なんて、絶対走れなかった。自分で車を買ったとき、慣れたバータイプをと希望したのだけれど、キミは絶対フロアタイプと言われ、渋々フロアタイプにしたけれど、大正解でした。慣れるまで、握りの部分の角度を微妙に調整する必要があるとわかるまでがすごく大変ではあったけれど。

ハンドコントロール車の開発など

 ハンドコントロール車は最近需要が開発されてきたらしく、新製品の開発も増えてきています。ジムカーナ(ハンドコントロールのレーシングカー!)で有名な三菱はもちろん、日産自動車などは、子会社を通じて既製品としてのハンドコントロール車を製造しています。また、ホンダのように、専用オプションを設定しているメーカー、トヨタのように、一時は、子会社経由で既製品として開発したものの、現在はむしろ改造しやすいペース車へと転換したらしいメーカーもあり、選択の幅は広がっているといえましょう。
 「既製品仕様」のハンドコントロール車は、内装にすっきりと収まり、コードも見えなくてスタイリッシュに決まる反面、細かい調整が出来ず、マヒが強い場合などキビシイことが多いです。これに、よーのすけみたいに「チビ」という家系上の問題がくっつくと、とーにもなりません。でも、上肢にマヒがなく、標準的な体型(それも開発の中心である男性の)であれば、非常にスマートな使い心地だと言われています。
 専門業者に改造を依頼する場合でも、ベース車レベルでの改造が出来るかどうか、交渉してみると良いようです。かつては行政の監督も厳しく、またねメーカー側も面倒を避ける気持ちが強かったのか、パワーステアリングの強化など、「絶対に出来ない」の一点張りでしたが、最近では、相談に応じてくれるケースも出て来たようです。

ま、それでも。
ほんの少し前、98年に、車新調したときは、まだ結構大変でしたね。
 当時トヨタが開発した「ハートキャブ」というハンドコントロール車を進められたのですが。営業マンはやる気満々で。
 ところが、この車、身長170cmを基準に作られていたみたいで、よーのすけ、アクセルブレーキに手が届かないのよ。座席も、姿勢保持のためにいろいろでこぼこが付いていて、これにも期待をしていたのだけれど、全然合わなくて、座っていられなかったの。
 とはいえ、この車、パワーステアリングが通常の倍というのが、とても気に入りまして。それまでの車で肩壊しかけてたよーのすけ、ぜひともこのパワーステアリングが欲しかった。そこで、同じベース車で、パワーステアリング部だけ入れ替えてくれ、ついでに運転席側に掴まるグリップを設置してくれ、と頼んだのだけれど、これが、なかなかうんと言ってもらえなくてですね。結局、パワーステアリングだけ、条件を呑んで頂きました。これは、ハートキャブの目玉でもあったので、うんと言ったともいえるし、ま、悔しかったんでしょうね。グリップ一つ付けるんでも、なかなか大変でした。下地がない、とか何とか言ってね。

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車椅子で彷徨えば扉
Yoonosuke Hazuki[MailTo_ocean@mbc.nifty.com]