座りっぱなしの私の倚子

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家の中では車いすを使わないが、在宅中の大半の時間、座り込んでいる人のために。フツーの倚子のシーティングも大事よ。

よーのすけは、自分が思っているより座位保持能力が低いらしいです。どうやら座れるフリをしていたみたい。なまじそれらしく座るから(座らざるをえない暮らし方をしてきたから)、みなだまされて、「体幹維持機能いいね」なーんて言いますけど。まあ、以前から勉強机といすのえり好みが激しくはありましたが…。シーティングのプロをして延々かかった電動車いすの調整過程で、「座るのが結構ヘタ」ってえのがバレました。

デスク用の倚子とダイニング用の倚子。いつもこのどちらかの上にいるので、腰痛や首痛の原因になるとしたら、この二つ。

というわけで、取り替え時にこだわり抜いた、二つの倚子をご紹介しましょう。同じような暮らし方をしている人の参考になるかな。

作業デスク用の倚子

新居に机を入れたおり、倚子は、縁あって、オーダーで作っていただきました。

正面から 横から着座して横から着座して前から

着座して、足が、かかとまでぴったり付くので安定します。

デスクは、この倚子の高さに合わせて、高さ設定が出来るイケアのものを選びました。横浜家具とイケア、という組み合わせが、何ともアンバランスではありますが。

「予算、7万円でお願いします。」という発注の仕方をしたら、素材として、比較的安価で丈夫なカナダ産材を選んで作ってくれました。

学生時代から、普段はデスクに張り付きっぱなしでしたので、デスクと倚子はアレコレ小細工を弄しておりました。その結果明らかになった困難な点は以下の3点。

この3点を考慮して作っていただきました。上品な仕上がりです。手の当たりも柔らかい。

仮合わせもやり、調整も何度かしてもらってます。キャスターも、何かがあって、別のに換えてもらった覚えがあります。最初、ロックなしのを付けてたのかな? 調整・修理代込みのオーダー価格で、あっ、車いすと一緒だ! 車いすと違って、価格は作り手が決められますから、装具業者よりもマシな気もします。

高級なキャスターだそうです。座ったまま、足でごろごろ移動することもあります。

製作していただいた工房は、横浜元町蓮華草です。幕末・明治にかけて、外国人相手に作られた「横浜家具」の伝統を受け継ぐ工房です。本家のヨーロッパ・アメリカがやすりを使って模様を削り出すのに対し、横浜家具は、のみを使って堀り出すのが特徴です。この蓮華草、普段は、こんなすごい家具を作っています。山手西洋館「山手111番館」の復元家具。
アンティークな高級家具

ダイニングチェア

拙宅のダイニングチェアは、30年以上使っている年代物で、しかも、母が何度か自分で張り替えたもの。座面が盛り上がっているタイプなので、ちょっと腰掛ける分にはいいが、ずっと腰掛けているとくたびれます。何となくゆるんできて、倚子を引くと壊れそうな感じになり、自分の分だけ買い換えました。

買い換えるぞ、と決めて、実際に買い換えるのに2年かかってます。

前から見た倚子横から後ろから

いろいろ迷いました。高さ調整できる介護用品的な倚子とか。かに座のハイタイプとか。

ちょうど、2度目、腰痛を解消するための車いすクリニックが佳境に入っていたときだったので、リハビリテーションセンターのエンジニア氏や、装具屋の担当氏に相談することができました。「ブツを提供しなくていい」相談だったので、両名とも、「こらこら」と言いたくなるほど、気楽に言いたい放題言ってましたが…。場末のリハセンター支部でののんきなクリニックだから出来た相談事で、今在籍している本部センターじゃ、殺気立ってて、とてもそんな相談できませんけどね。出張のお土産がおやつに振る舞われるほどのんきな車いすクリニックでしたもん。(そんなんされてた利用者はアンタだけだ、という説も。)

シーティングのプロ2人のいささかふざけた数々のアドバイスの中、上がってきた条件は3つ。

とはいえ、現物を見ないで通販はできません。寸法からして、不安な点が多々…。一番不安だったのは、高さの調節が出来ない、ということでした。山下町にあった通販生活のショールームも閉じちゃったし、所有している友人宅は玄関階段で遊びに行けないし。

イケア、ニトリその他、行ける範囲の倚子売り場は全部制覇しまして。身体が小さいので、

ということが、わかりました。

結局、決めたのが、この匠工芸 LITTLE。蔵前のセレクトショップで発見しました。

前から 後ろから

無駄なものが全くないミニマムな作りですが、座高を3センチ足せば、バックレスト・アームレストで支えが欲しいところはちゃんと支えられています。3センチの低反発クッションを入れて、高さと安定感を確保しました。小型でライトなコンセプトを売りにしているので、座り込みも浅く、小柄なよーのすけにぴったりなサイズです。迷いましたが、足切りはせずに、使っています。将来的には、ダイニングテーブルとともに、少し詰めるかもしれません。詰められるデザインです。

横座り あぐら

横座りも可能で、あぐらもかけます。自由度の高い座り方ができます。

軽いので、倚子を引くのも引きやすいです。軽いですが、しっかりした作りで安定しています。

文句言いたい

人間工学上の計算式は、

座面高=身長×0.25−1  ※170cmの場合:41.5cm
机の高さ=身長×0.25−1+身長×0.183−1  ※170cmの場合:71.61cm

なんて言いますが、実際のところ、40cm以下の倚子、72cm以下のデスクなんて、市販品はありませんもの。

車いすレベルでの座りっばなしとはもちろん桁が違いますが、いわゆる「健常者」とは、座ることに対する感覚が違うなあ、と、思います。


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車椅子で彷徨えば扉
Yoonosuke Hazuki[Mail_ocean@mbc.nifty.com]