いやあ、なんかよくわかんないものみちゃったよ。
車椅子の子と、それを押している子の二人連れなんだけどさ、路上駐車して、買い物してたらしいの。で、車椅子で車道の方に降りてくんのよ。ガードレールにくっつけて止めてんから、後ろに乗るのかな、と思っていたら、あんた、車椅子の方の子が、運転席乗り込んじゃったのよ。で、車椅子押してた方の子が、車椅子畳んで助手席の方に回っちゃったんよ。あれで運転するのかね。俺、びっくりしたね。
車椅子押してた方の子、免許ないのかな。
「?????!」という顔をして、通りすぎても、まだ振り返ってこちらを見ていたおじさん、やっぱり不思議に思われましたか。
不思議そうなあなたの顔を見て、私たち、「介助者が助手席に、被介助者が運転席に」という事態が、世間一般に見てかなり怪しむべきことである、ということに気が付いたのでした。ちなみに、これは妹くんで、当時、免許はちゃーんと持ってました。
アタシたち、なんか、わけわかんないもの見たのよね。
車椅子の子を連れたお母さんらしいのがやってきてね、3階駐車場からリフトで車を降ろしたのよ。それでね、まあ、待ち場で、その子を乗っけるんだろうと思ったの。路上は危ないからね。で、お母さんが降りてきて、その子を車に乗っけるみたいだったの。抱っこするのかな、大変そうだな、って。そしたら、その子、運転席に乗り込んじゃったのよ。運転できるのよ、その子。でも何でわざわざあんな子に運転させるのかしら? 一緒に乗ってくんじゃないのかしら、と思ったんだけど、お母さん、車椅子をハッチに入れて、自分は助手席に乗り込んじゃった。で、その子が車を出して、駐車場の出口あたりに止めたの。気になったんでしばらく見ていたら、ほかの家族がぞろぞろ出て来てさ、みんな車に乗ったわよ。でも、何で? お父さんもいたわよ。お酒呑んじゃったからかしら? でもお母さんも運転できるみたいよ。なのに、何であの子がドライバーなの。
心底キツネにつままれた顔をしてこっちを見守っていた管理人さん。あなたの顔は、今でも我が家の語りぐさになっています。
立体駐車場ってね、車椅子でアクセスできないんです。それで、面倒だけど母が車を降ろしに行ったというわけです。
で、情けないことに、我が家の人たちは全員「都会は走れない! だいたい道がわからない!」って人ばかりで。それで一応都会に通っている&運転ていうものは迷いながらするもんだ、と思っているよーのすけにお鉢が回ってきたんですね。
思わず口を開けてぼーっとこっちを見ていた人たち、きっと家に帰ってこんな報告をしたんじゃないでしょうか。
車椅子ドライバーって、世間一般的には、まだ珍しい存在ですかね。
よーのすけ本人と知り合いになる人は、それほど違和感感じないらしいのだけれど。それで、当たり前のような顔をして助手席に乗り込んできますが、この状態、身近に車椅子ユーザーがいないとすごく違和感あるみたいですね。一人の時は「へー、すごいなー」という表情をしてますが、介助者が一緒だと、実に不思議に見えるらしい。
そんな顔しなくてもいいじゃない、って顔してこちらを見ています。その顔を見るのも結構楽しいです。
あ、でも。
引っ越しのドライバーをしたときには、客観的に見て、かなり怪しく見えるだろうな、とは思いましたが。主観的にはおもしろかったからいいけど。